ある島にて・・・（十八日目）

十八日目

　今日はすっきり晴れた。

　だが心地よい目覚めとはいかなかった。

　何だか身体が揺れていた。

　目を覚まして虚ろ眼で見てみると。

　目の先に地面があった。

　昨日は確か空があったはずなのに。

　しかもゆらゆら揺れるので寝起きではちょっと気持ち悪くなる。

　あまりにも辛くなってきたので枝を掴んで揺れを止めた。

　やせ我慢なんてするもんじゃないな。

　

　目が覚めるのを待って改めて見回す。

　どうやら木から落ちてしまったようだ。

　蔓のおかげで地面に抱きつかなくて済んだとはいえ。

　そのせいで酔ったように気分が悪くなる破目になってしまった。

　しかも蔓で支えられていた所がひどく痛む。

　お腹に巻きつけていなくて良かった。

　それから必死になって木の上に這い戻り。

　蔓を外してしばらくぐったりとした。

　果実を搾って果汁を飲み干す。

　冷たいものが良かったが贅沢も言えない。

　最高の場所で最低な気分でいると言うのはひどく滑稽に思える。

　しかし他にどうしようも無いのでそのままぐったりしている。

　しばらくぐったりしていると幾らかは楽になってきた。

　どう考えても間抜けな話だと一人苦笑する。

　今度はうつ伏せになってみる。

　下界を見下ろす神々の気分と洒落込んでみる。

　しかし今日は誰も通りがからない。

　

　私は諦めて下に降りた。

　何やら身体の節々も痛む。

　仕方が無いので変なうめき声を出しつつ進む。

　溺れる者はの諺通り。

　今は必死で老人参宅へ向かう。

　住処へは今の私では遠すぎる。

　いつもは５分の距離を小一時間かけて這うように進んだ。

　老人参は吃驚したみたいだが。

　辛そうな私を見て招き入れてくれた。

　それから付きっきりで看病してくれた。

　優しさが身にしみた一日だった。

　ここに泊まらせていただき。

　私は温かい気持ちで眠らせてもらった。

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