ある島にて・・・（三十六日目）

三十六日目

　朝から総出で蔦や蔓を探す。

　そこらへんの木々に巻きついてるのが多いので探す自体は簡単だった。

　それでも量を集めるのには骨が折れた。

　ただ蔓で縛るだけでは強度が不安なので。

　組み合わせられるように木材におうとつを付ける。

　しかしこの作業が中々に時間がかかる。

　きっちり合わせていると途方も無く時間を浪費してしまうので。

　おうとつだけ付けて隙間は泥で埋めて補強する事にする。

　これが面倒だからなあと薩摩芋が溜息をつく。

　全員で昼過ぎまでかかってやっと全部仕上げる事が出来た。

　

　それから組上げ作業に取り掛かる。

　適当に木材を組み合わせて隙間に泥土を詰める。

　蔓でしっかりと補強し。

　まんべんなく日が当たるように梯子を岩山に立てかける。

　今日のような上天気なら。

　夜まで置いておけば泥も固まって良い感じに仕上がると思う。

　ついでに私達も大の字に寝そべって日光浴と洒落込む事にした。

　ああ、でん粉が染み渡る。

　糖分が弾けるぜ。

　等等、皆とても気持ち良さそうだ。

　私も身体がぽかぽかしてとても心地良かった。

　授業中に襲われたあの怠惰な眠気にも似た眠りにも誘われる。

　頬を撫でる風が運ぶ、草と日溜まりの匂い。

　自然に還元された気になる時間。

　多分一番大切な時間。

　生きてると実感出来る時間。

　

　いつのまにか眠り込んでたらしい。

　肌寒いくしゃみと共に目が覚めた。

　もうすっかり暗くなっていた。

　木材を点検していたらしい薩摩芋が。

　これなら大丈夫だと太鼓判を押す。

　泥もかちかちに固まっていて。

　何者にも負けない強靭さを感じた。

　

　もう面倒なのでここでこのまま寝ようと言う事になり。

　じゃんけんに負けた南瓜が火を取って来る為に歩き去り。

　私達はそのままごろごろと眠った。

　一日中暖められた大地は。

　ほのかに私を包んでくれた。

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