ある島にて・・・（三十三日目・一年発起）

三十三日目（一念発起）

　やわやわと風が流れている。

　昨日から平穏な空気に覆われている。

　空も澄み渡り。

　遥か彼方無限に広がる星々も見通せるように気にさせさせるほどに。

　私は透き通ったモノが好きだ。

　透き通った景色。

　透き通った音楽。

　透き通った心。

　透き通った何かが。

　住処はなかなかに酷いものだった。

　屋根は飛ばされ、物は散乱し。

　枯葉と枯枝で満ち溢れていた。

　ベッドも布団は剥がれ飛び。

　シーツも何も無かった。

　私は住処を諦める事にした。

　これからは遊牧民の如く生活しようと思う。

　別に定住するだけが能じゃない事だし。

　色々と調べ歩くには丁度良い。

　

　浜へと出てみる。

　そこにはいつぞやのラフレシア茎が横たわって居た。

　一昨日の嵐にやられたらしい。

　何だか巨大な蛇の抜け殻のようだった。

　その時めきめきと変な音がしたのでそちらを振り返る。

　そこには無数の触手が難破船を侵食し始めている光景が。

　船体に巻きつき。

　穴という穴から出て。

　まるで船そのものを食べているように少しずつ少しずつ壊し、取り込む。

　その触手の先には大きな口のラフレシアが・・・。

　・・・・脱皮・・・・したのか？

　逃げよう。

　今すぐに。

　今すぐに此処から。

　幸い触手には気付かれてないようだった。

　幸運を天に感謝する。

　湖までひたすら走った。

　着くなり湖に飛び込む。

　水が心地よかった。　　　

BACK・ EXIT・ NEXT