ある島にて・・・（十四日目）

一四日目

　今日は朝から雨が降った。

　私にとっても恵みの雨だ。

　しかし、雨が降ると何も出来なくなる。

　ただ座っているだけと言うのがまた辛い。

　私は本来じっとしているのは苦手なのだ。

　退屈も嫌いだ。

　雨音を聴いて何かを感じれるほど。

　情緒がある訳でもなく。

　感受性も衰えている。

　それでも心地よいと感じる時もある。

　だが朝からずっとでは流石に飽きもする。

　勝手なものだ。

　だがそんなものなのだと思う。

　仕方が無いから枝をナイフで尖らせてフォーク代わりを作っていた。

　それでも熱中していると時の流れを感じる事も無く。

　雨音が止んだので空を見上げてみると。

　雨も止み。

　太陽が真っ直ぐ上にあった。

　じめっとする空気はそのままだったが。

　座っていなくて済むのは嬉しい。

　しかし思ってみると。

　フォークも船から持ってくれば良い。

　ここに来てからずっと手で食べていたから。

　そこまで気が回らなかったのだった。

　私は溜息をつきながら尖った枝を投げ捨てる。

　すると捨てた草むらの辺りからくぐもった声が聞こえた。

　変に思って覗いてみると。

　串刺しになってじたばたもがいているキャベツが居た。

　私は慌てて側に寄って枝を抜き謝った。

　キャベツは芯に刺さってたら偉い事だったと大変憤慨している。

　穴が開いた所を剥がさないといけないどうしてくれると睨みつけられた。

　私はともかく平謝りに謝った。

　結局お詫びとして果実酒を取られてしまった。

　少しくらい剥がしてもと大変悔しい思いをした。

　ひょっとすると当たり屋の類だったのかも知れない。

　何か腹がたってきたので。

　今度会ったら全部剥いてやろうと思った。

　このままだと気分が悪いので。

　湖で身体を洗う事にした。

　着るものが他に無いので毛布を持って行くことにした。

　

　湖で身体を洗っていると湖畔から歌声が聴こえて来た。

　そっちに行ってみると。

　苺がぷかぷか浮かびながら楽しそうに歌っていた。

　私も楽しくなってきたので。

　近くに行って声をかける。

　その途端。

　いきなり苺が叫び声を上げて。

　いやらしい覗きめ等と行って脱兎の如く去って行った。

　服なんか着ないくせに・・。

　今日は散々な一日だった。

　あっちでどやされこっちで詰られ。

　こういう時の為の果実酒もとられてしまった。

　腹がたって何もする気が起きなかったので。

　そのままベットでふて寝した。

　私がそんなに悪いのか。

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