ある島にて・・・（九日目）

九日目

　今日は上天気だった。

　こういう日は気分が良い。

　しかしその気分を邪魔するかのような悪臭が。

　ここに来てずっと風呂も洗濯もしていない。

　悲しいが少々臭う。

　海水で洗う訳にもいかないし。

　まあ引っ越してから探すか。

　どうせまた水源も探さないといけないし。

　それからえっちらえっちらと移動を開始した。

　荷物は少ないがなにしろ距離がある。

　昨日の疲れもそうそう抜ける訳もなく。

　私もここに流れ着いて以来の苦労をしたのである。

　途中、木の上で葡萄が笑ってる気がしたのは気のせいか。

　そりゃ、はたから見れば可笑しいだろうさ。

　タイヤが日を浴びて酷く熱かった。

　昼までかかってやっと船まで着いた。

　休む暇も無く住処作りにかかった。

　いつ雨が降るかも解らない。

　何が居るかも解らない。

　早めに火を確保しておくに越した事は無いだろう。

　側の森に分け入り。

　ザッザッっと靴で地面をならす。

　タイヤをどっかと置き取り合えず座って一息。

　それから伸びを一つして落ち葉落ち枝拾いに出かける。

　身体がいいかげんに重い。

　枯れ枝を組み、落ち葉を乗せて火種を置く。

　ふうふうと息を吹きかけていると。

　程なくパチパチと火が燃え始めた。

　

　そして次に屋根作りに取り掛かる。

　枝と蔓で屋根を組む。

　そして枝と枝の上に乗せ。

　蔓で固定する。

　そして葉っぱを乗せれるだけ乗せる。

　二回目だからまだ楽だったがかなり疲労した。

　気が付くと日も暮れかけ朱に染まっていた。

　船の探索は明日にするしかないな。

　それ以前にもう身体も動きそうにないが。

　もう疲れすぎて食欲も失せていたが。

　昨日の残りのパンと貝を焼いてほうばる。

　味も何もあまり感じなかった。

　そしてそのまま倒れこむように寝た。

　明日筋肉痛が恐いな・・・。

　まあいいか。

　今はただ寝たい。

　
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