ある島にて・・・（十日目）

十日目

　今日は予想通り筋肉痛から始まった。

　苦悶に身をよじりながらも必死にマッサージをする。

　小一時間ばかり格闘すると。

　ようやく楽になってきた。

　そして水で口を濯ぎ。

　枝で歯を擦る。

　歯磨き代わりである。

　歯がむずむずして来たので苦肉の策にやってみたのだが。

　これがなかなか良い感じだった。

　これから朝晩するとしよう。

　

　それから松明に日を灯し。

　探索に行く事にした。

　船は相も変わらず打ち上げられたままだった。

　波にもびくともしない。

　いかりでも落ちて固定されているのかも知れない。

　外から眺めていても仕方が無いので。

　大穴からゆっくりと踏み入れる。

　松明で照らして見ると。

　中は思ったよりも綺麗だった。

　もしかしたら沈んだのはそう遠い日の事では無いのかも知れない。

　そのまま水没してない方に進んで行くと。

　扉を三つ見付けた。

　一つ目の扉を開ける

　おそらく寝床だったのだろう。

　二段ベットの残骸があちこち残っている。

　このベットは使えるかも知れない。

　後で持って帰るとしよう。

　二つ目の扉を開ける。

　おそらく厨房だったのだろう。

　フライパンやら包丁やらが散乱していた。

　ほとんどが穴が開いてたり曲がったりしていたが。

　いくつか使える道具を入手した。

　待望の鍋もとうとう手に入れた。

　記念すべき日だな。

　水樽や食べられそうな乾燥肉やらの食材も少しだが無事だった。

　

　三つ目の扉を開ける。

　ただの船室にしては豪奢だ。

　おそらくは船長室かＶＩＰ室かその辺りだろう。

　本棚から本が散乱していた。

　一つ一つ調べてみる。

　海図やら推理小説やら色んな物を見付けた。

　だが今の私には必要の無いものだ。

　その中で一つだけ興味を惹く物があった。

　航海日誌。

　取り合えずその一冊のみ懐に入れる。

　しかし、船員は何処に行ったのだろう。

　これぐらいなら無事で居てもおかしくないはずなのに。

　それからは有益な荷物を運び出すのに費やした。

　もしかしたら他にも難破船等が流れ着いてるかも知れないな。

　そんな事を考えながらナイフに突き刺した乾燥肉を火で炙る。

　久しぶりの肉はなんとも言えない味だった。

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