ある島にて・・・（二十五日目浮浪中）

二十五日目（浮浪中）

　ここは・・・何処なのだろう・・。

　取り合えずキャベツから出る。

　葉っぱを閉じて合掌する。

　こうなっては罪もあるまい。

　キャベツはなにか御輿のようなものに乗っていた。

　しかし何でまた・・・・。

　芯は何処に行ったのだろう。

　このままどうしようもなく途方にくれる。

　何だか廃棄場みたいな所に見えるが・・・。

　周りに色んな物が積み上がってるせいで何も見えない。

　取り合えず一つだけある細い道を進む。

　細い道がずっと向こうまで続いている。

　そんなに時間は感じなかったがそうとう運ばれたらしい。

　それとも道が違うのだろうか・・。

　他に道は見えないけどな・・・。

　何処を見ても積み重なった山が連なるだけで他に何も見えない。

　仕方が無いのでそのまま道を進む。

　何処まで行っても景色が変わらない。

　何だか意識も朦朧としてきた。

　目の前に霞がかかったように現実味がまるで無い。

　本当に歩いてるのかさえも解らなくなる。

　果たして今自分は何をしているのだろうか。

　ここに居る自分は本当に自分なのだろうか。

　手や足は本当にあるのだろうか。

　この身体は本当は存在しないのではないだろうか。

　キャベツのように芯が無くて抜け殻どころか。

　抜け殻さえあるのか解らなくなってくる。

　身体が溶けて。

　このまま少しずつここに取り込まれてしまうようだ・・。

　このまま・・・・。

　その時突然腕を取られ、何かに引き込まれるような感触がした。

　

　気が付くと見慣れない場所に居た。

　光景はさっきと同じだが。

　何かが違う・・・。

　そうか、生活感だ。

　言い換えれば生の気配。

　そのぬくもりのような安堵感がここにはある。

　気付いたかと誰かの声が聞こえた。

　声のした方を見るとそこにはくたびれた山芋が居た。

　浮浪者風と言うか仙人然としたと言うかそんな感じの印象を受けた。

　世捨て人・・・或いは在野の賢者。

　あの場所は生きてるもんには良くない場所だよと山芋は言った。

　それから今日はもう休んだ方が良いとも。

　私は言われるままに眼を閉じた。

　まだ頭の何処かがぼんやりとしていて考える力が出なかった。

　眠れ。

　その一言が暗示のように私の行動を決定した。

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