ある島にて・・・（二十七日目大物帖）

二十七日目（大捕物）

　トマトと白菜を連れて船内に入る。

　結構年季の入った船らしく、浸水した部分は腐れ落ち。

　木板には年月という名の年輪が刻まれている。

　手近のドアを開けて中に二人を放り込む。

　相変わらずぐったりと項垂れている。

　この分なら見張りなどいらないだろう。

　最後に瓜が大人しくしてろと怒鳴ってドアを閉める。

　話によると西瓜一味は西瓜を合わせて後三人居るらしい。

　そこで西瓜達が現れるまでここで休む事にした。

　幸い食料も十分すぎる程蓄えてある。

　食材を漁ると例の不味かった木の実があった。

　そこで私はパンを作ることにした。

　調理用具等もきちんと用意してある。

　どうやら几帳面なコックが居るらしい。

　木の実をすり鉢に入れ、すりこぎでごりごりと粉にする。

　なんだなんだと暇そうな瓜が現れたので捏ねてパン生地にするのを手伝わせる。

　やけに豪快に練ってくれた。

　それから備え付けのオーブンでさっと焼き上げる。

　香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。

　香り高く仕上がった。

　瓜達が珍しそうに覗き見てくる。

　それから皆で楽しい昼食になった。

　程好く甘く、ほろ苦く何ともいえない美味だった。

　争うように貪る。

　ちゃんと調理器具を使ったものもやっぱり美味いものだな。

　それから食事の後の軽い運動などをしていると。

　日が落ち、すべてが朱に染まる。

　私達は船外に出て岩の上に立って西瓜一味を待つ。

　瓜によると頭とは正々堂々と正面から打ち破らねばならないそうだ。

　

　しばらく見据えていると。

　森の方から三つの大きな人影が出てきた。

　瓜が大声で叫ぶ。

　我々に気付いたらしく怒声を上げながら走り寄って来る。

　私達の所に来る頃には大分息も上がっていた。

　西瓜、南瓜、レタスの三人が一斉にこちらを睨む。

　そして西瓜が今日こそ決着をと言うや否や、いきなり瓜が殴りかかって西瓜を吹き飛ばした。

　皮がべこりとへこみ、ヒビが無数に現れる。

　南瓜もレタスもあっけにとられて呆然としている。

　そこに瓜の鉄拳が放たれる。

　二人とも岩にぶち当てられ伸びてしまった。

　腑抜けになった奴ァなんか相手にもならねェと瓜が西瓜を蹴飛ばす。

　西瓜達はぐったり転がっている。

　私達は苦労しながらもふん縛って船内のトマト達とは別の部屋に閉じ込めた。

　でかい奴らなので結構時間がかかった。

　しかし瓜が味方で良かった。

　私は自分の幸運を天に祈りながらほっと胸を撫で下ろした。　

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