ある島にて・・・（二十四日目会合後）

二十四日目（会合後）

　今日は久しぶりに晴々とした気分で目が覚めた。

　仲間が出来るという事は何もかもを分け与える事が出来るという事なのだろう。

　そして相談出来るという事はとても良い事だ。

　空はどんよりと曇っていたが。

　気分の良い時はそんなものは関係無い。

　何を見ても良い気分なのには変わりない。

　現状を変えるきっかけは出来た。

　それでどうなるかは解らないが。

　老人参と溜息交じりで話してるよりはずっと建設的だろう。

　ともかく西瓜達を何とか出来れば。

　メロンもピーマンも詐欺まがいの事はし難くなるだろう。

　それだけでも大分助かるはずだ。

　後は牛蒡にもうちょっと覇気を持たせないと・・・。

　人をまとめるのには優しさだけでなく、魅力と覇気が必要だ。

　今の頼りなさを力強さに変えれば。

　牛蒡の欠点も何もかもが魅力に見える。

　一つを変えれば全てが変わる。

　見た目なんてそんなものだと思う。

　見る方の気分で決まる。

　大きく背伸びをして空を眺める。

　空は何処も同じだと言うがそれは間違いだとこの空を見る度に思う。

　これが本当の空なのだ。

　悠久の彼方から人が憧れ続けた空は。

　きっとこの空なのだ。

　浜に出てみる。

　海も遥か彼方まで広がっている。

　深く濃い色と明るく薄い色が混ざり合い。

　日の光に照らされ。

　底から深い黒に侵食され。

　数十億年の年月の記憶と。

　数え切れない程の生物達の想いや祈り。

　私のようにこうやって海を眺めた者は。

　一体どれほどいたのだろうか。

　ふと見ると。

　何かが砂から覗いている。

　近寄ってみると。

　いつぞやの種から小さな芽が出ている。

　それも無数に・・・。

　しばらく見ていると。

　芽同士が争ってお互いを捕食しだした。

　一方を食べる度にもう一方はむくりと目に見えて大きくなる。

　やがて食欲が満たされて満足したらしく大人しくなった。

　取りあえず見なかった事にしよう。

　折角浜に出たので潮干狩りに励む事にした。

　人一人ならばこの浜だけで一生食べていけそうな気がする。

　多分この海が綺麗だからだろうが。

　焼いたら程好く塩味が出てとても美味い。

　食べる寝るに事欠かなければ快適に暮らせる。

　

　掘った貝で食事を取り湖へ向かう。

　服を着たまま飛び込む。

　小一時間ばかりそのまま泳ぎ。

　服で身体を擦る。

　ぼろぼろと垢や汚れが流れていくのが見えた。

　

　それから急いで住処へ戻り。

　焚き火の前に陣取る。

　服がこれしか無い為身体を洗うともう他に何も出来ない。

　それが今の悩みだな。　　

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