始まり始まり

序話

　遥かな未来か遥かな過去か、文明と科学はある地点にまで到達する。

　DNA、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーの発展に基づき、さる国である計画が進行していた。

　即ち神話や物語のみに存在した空想の魔獣、ユニコーン、ミノタウラス、ケルベロス、ドラゴン等を

生み出す事である。勿論、軍事目的の為に。

　魔獣達は生物と鉱物の長所を合わせ持つ肉体を持ち、その当時のどんな兵器で傷つく事も無く。その

身に与えられた特殊能力と、何よりその潜在的恐怖心を呼び起こす姿をもって、たった一体で正規軍の

一個師団を壊滅させる程の戦闘能力を示した。

　その魔獣達の総称をキメラと言う。

　キメラ達の力を利用し、その国は僅か数年でユーラシア、南北アメリカ、アフリカの四大陸をほぼ手

中に治めてしまう。

　だがこの頃からキメラの開発者達、シンクタンク「アポクリスプ」からキメラを危険視する声が上が

った。キメラ達は当初彼らが考えていたよりも、遥かに知能レベルが高く。このまま制御し続けるのは

不可能であると。

　しかし軍首脳部はそれを黙殺した。

　何故なら、ただ一つ残ったオーストラリア大陸に叛意を持つ人々が次々に集まり、この大陸を溢れ出

るかと思う程の一大勢力となっていたからだ。この勢力に対抗するにはキメラの力が絶対に必要である

と、そう確信していたのである。

　ただ、そのキメラも個体数が少なく。オーストラリア側にも決め手となるものがある訳でも無く、両

勢力ともにじりじりと消耗戦を繰り返していた。

　

　焦ったその国はアポクリスプの反対を押し切り、最終兵器として生み出された最大最強のキメラ、ド

ラゴンタイプであるミドガルズオルムを戦線へ投入した。しかし異変はそこで起こる。

　ミドガルズオルムがキメラの王を名乗り、全人類に反旗を翻したのだ。勿論その国も例外では無く、

手始めにキメラ達によって壊滅、返す刀でオーストラリアへと進撃。人々はその完全に統制されたキメ

ラ軍とミドガルズオルムの力によって、再起を誓いながらも散り散りに各地へと逃げ隠れる事となる。

そして、これによって人口は最盛期の約１０％にまで減少した。

　

　しかし人類に勝算が無くなった訳では無かった。アポクリスプは指導者であるロキ・サリアス博士の

指示の元、すでにキメラに対抗する兵器を生み出していたのだ。その名、ロンギヌスシステム。しかし、

それを起動する前にアポクリスプのラボごと全て破壊されてしまう。

　

　そして数年の歳月が流れ、地上界はキメラ達に完全に支配されてしまった。

　人間達は数少ない残された遺産とも言える兵器を使い、辛うじて数箇所で生き延びていた。

　この物語はそんな時代から始まる・・・。　

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