取り合えず完了（＞＜

一つの終幕、幾多の開幕

「いなくなると寂しい気もするなあ・・・・」

「そうですな。でもそれが人の為なれば」

「そうですねえ・・・・ん？ああッ！？」

「どうかしましたか？」

「いや、自分はどうやって帰れば・・・・・」

「ふむ、そう言えば・・・」

　ゼロライムが乗ってきたディアボロスはすでに地下へ深く。そして機兵は主に一人乗りなのである。

一緒に居るレズナー参謀長は務めて冷静なのだが、これでもかなりに悩んでいる。

「ああ、そうです。誰かの機体に乗るとかはどうですか」

「えッ、でも一人乗りでは・・・・」

「はい、ですから頭の上とかに」

　レズナーはにっこりと話し掛ける。我ながら名案だと思っているらしい。

「ははは・・・・・、検討してみます・・・・・」

「ええ、大丈夫ですよ」

　国政や外交に関しては定評のある参謀長も、それ以外は割とぼへっとしているのもそこそこ有名な話

だったと、ゼロライムは乾いた笑いが漏れ出ながらも思い出していた。

　結局ゼロライムはレズナー機の頭の上に・・・・ではなく。賢視からとても古い機体を譲り受け、そ

れに搭乗する事となった。賢視曰く

「敢闘賞です。折角濃く譲り受けた神の血をお大事に」

　魔力が高いと言う事はそれだけ神の血が色濃く流れている訳で、たまに先祖がえりみたいにしてそう

言う人間が生まれるとの事。だからゼロライムはノヴァの血が濃かったのでしょうね、おそらく。とは

これも賢視の弁。

「でも、物凄く時代を感じるけど乗りやすいなコレ・・・」

　淡黒く塗装され、最低限のもの以外は全て取り払われ軽量化されている。霊機の性能も神機に乗せた

ものに近いものがあり、駆動系も滑らかだ。何でもシルフィードのモデルとなった機体だとか何とか。

この機体も肩の辺りにΛの刻印がある。

　ちなみに霊機にはゼロライムとずっと共にしているシルフが載せられている。

「機体は違っても、常にお前なのね・・・・」

「何かおっしゃいましたか！？」

「いえ、何でもございません」

　力関係は相変わらず。

「ま、その方が慣れてるからリンクしやすいけどな」

　賢視の話では結局この機体には精霊が宿らせられる事は無かったそうだ。

「また曰く付きの機体だったりして・・・・・」

　ゼロライムはこめかみの辺りを生暖かいものが流れるのを感じた。

「どっちにしても、まだまだ仕事が山積みだあ～」

　一つの戦争が終わったとは言え、それはそれだけの事。帝国は尚数多の問題を抱え、始終何処からか

狙われている。群雄割拠の続く戦乱が当たり前の時代、平穏な時が訪れるのは残念ながらまだまだ先の

ようである。

「もう、面倒事はごめんだーーーーーーーー！！」

　高らかに響く一人の青年の雄叫びは、若さを伴い未だ安定はせず。

　そして賢視はまた一つの歴史をその書へと書き加えた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了

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