風と雲と虹と


 雲が空に架かって大きな橋が出来ています。

 神々達はその橋を使って移動をしておりました。

 時折雲が薄くなります。

 女神達は下から覗かれないかと心配に思ったものです。

 男神達は自分の重みで落ちないか心配でした。


 風が吹くと雲が動きます。

 雨を降らせた後は軽くなって少し浮きます。

 その度に目的地よりも少しズレてしまいます。

 神々は困り果てました。


 そこで神々は雲船を創りました。

 小さくて動かしやすい船です。

 少しズレたくらいなら簡単に直せます。

 これは流行りました。

 皆で使ったので下の人間達は少し驚いたものです。

 その光景を人間達は親しみを込めてひつじ雲と呼びました。


 

 でもやはり風には弱くて。

 ビュービューと少し強い風が吹くと。

 ふらふらゆらゆら揺れてしまいます。

 女神達は怖い怖いと言っておりました。

 実際幾神かが下界に落ちてしまって居たのです。


 下界に落ちてしまった神は仕方なくそのまま暮らしました。

 山神、海神、森神等になって人知れずそこへ住み着きました。

 しかし痛い痛いと恨んでしまっていたので。

 下界に地震や津波、雪崩れ山崩れといった災害を齎せてしまいました。


 

 上に居る神々は人間達に申し訳なく思って災害を抑えるのに必死でした。

 人間達も落ちた神々を慰める為に祭り上げて慰めました。

 落ちた神々は少し落ち着きましたが、やはりたまに怒ってしまう事もございます。

 その時は落ち着いて祈って差し上げましょう。


 神々は雲ではやはり不安だと虹を御創りになりました。

 しっかりとした橋になって上手く架かると下界まで届きます。

 この時は落ちた神々も天へ帰る事が出来るのでした。


 女神達は雲を止めて虹を使う事にしました。

 ですから虹を良く見てみますと。

 女神達が微笑んでおられる姿が見えるかも知れません。

 はっきりとした虹が見えた時は。

 落ちた神様の笑顔も見れるかも知れません。

 見る事の出来た方には神々の祝福があるでしょう。

 ただ神々に呼ばれても雲には気をつけて下さい。

 けして落ちないように。


 神々の中には虹が出来るまで待てないと仰って。

 雲を使ってたまに落ちてしまうそうです。

 それを人は流れ星と言いますが。

 見かけた時は大丈夫ですかと祈って差し上げましょう。

 もしかしたら気をよくした神様が願いを叶える手助けをしてくれるかも知れません。 


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