蒼い火


 掌をかざすと中まで青白く光るようで、まるで骨だけであるかのように見える。

 生きながら死んでいるようで、死んでから生きているようで、次第に自分の居場所が解らなくなる。

 壁も家具も全部青白く、墓場に居るのと大差なさそうだ。

 透き通るように蒼い炎は全てを透かし、普段見えないものを目に映させる。

 闇も見通す蒼い光で、何もかもを暴いてしまうのだ。

 それが怖くて怖くて子供の頃は近づけなかったけれど、大人になってこうしてみて、初めて大人達がこの蒼

い火を大事にしている理由が理解できた。

 大人達の世界は全てが曇り、何もかもが心に覆い隠されている。

 嘘ばかりとは言わないし、優しい嘘があるからこそ生きていけるのだとしても、いつも本心を偽ってばかり

では生きているのか解らなくなる。

 でもここで蒼い火にあたっていると、自分が生きている事を実感できる。

 正確に言うなら、自分がまだ死んでいない事を理解できる。

 骨だけの手を見、足を見て、自分がまだこの世に生きている事を知る。

 そこには嘘偽りはない。

 全てをさらけ出す光。

 そんなものに憧れるようになってはおしまいだと知りつつも、私は今日もここから抜け出せないでいる。

 それを望んでもいない。




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