呼吸


 呼吸をする度に小さな風の子が生まれる。

 一人一人は小さいけれど、風の子が集まると、大きな風になって、世界を揺れ動かす力になる。

 この大地に居る沢山の命達が、毎日何十億、何百億、何千憶という小さな小さな風の子を産んでいる。

 そしてその風の子達が世界を動かす力になる。

 地球がくるくるくるくる回っていられるのも風の力だ。

 太陽の周りをぐるんぐるんぐるんぐるん回っていられるのも風の力だ。

 風の子は小さいけれど、集まると大きくて強くて、とても激しく毎日を吹き進める。

 一日が過ぎるのも、時間があるのも、風の力。

 飛んでゆけるのも、走ってゆけるのも、風が背中を押してくれているから。

 皆の起こす小さな風が。

 全ての全ての力になる。

 今吐き出した、その小さな風の子が。

 命そのものを動かしている。

 ゆっくりすれば、ゆっくり流れ。

 激しくすれば、激しく流れる。

 ゆっくりすれば楽に歩けるし。

 激しくすると、いつかは倒れてしまう。

 ゆっくりと安全に、楽しくそして気をつけて、今という時間を吹き進めて行こう。

 そっと小さく、それでいい。

 激しく大きく、それはいらない。

 もっと静かでいい。ゆっくりでいい。大きく大きく息をして、長あく長あく息をして、力強く、心を楽

に、歩いて行こう。

 その一歩一歩。一呼吸一呼吸が、世界を形作る力になる。

 それは偉大で、とても強い。

 だから気をつけないといけない事。

 自分で自分を疲れさせないように。

 急いで急いで行かないように。

 ゆっくり年を取って、楽しく行こうじゃないか。

 その小さな風の子が、いつまでも笑いかけてくれるように祈って。

 今日もまた、ゆっくりと静かに、楽しく呼吸する。

 そうすればきっと、皆幸せに、なる筈さ。

 僕はきっと、そう思う。

 誰もきっと、そう願う。




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