「ホッホー、ホッホー、ホッホッホー。わしら陽気な探検家〜、スコップ片手にほりほりほり、ツルハ シ片手にどんどかどん、斧を両手にざくざくざく。開いて開いて開きまくれ〜、ヤッホホウのホホイ♪」 陽気な歌声とハミングと共に三人の小人がやって参りました。 スコップを片手に長男スコッピオ、ツルハシを片手に次男ツルピィー、大斧を両手に三男オノッキ。 歌が大好きな探検家達です。 彼等兄弟は金銀財宝を求めて今日もてふてふてふてふ歩きます。 「前方に大岩発見大岩発見、大岩警報を発令します。ウーウーウーウーウー」 先頭のスコッピオが大岩が立塞がっているのを発見します。 「おいに任しとき!」 こういう時はツルピィーの出番です。ツルハシを使ってガシガシ岩を砕きます。 「任務完了、ホロホロヒ〜♪」 「障害物撤去確認、前進再開」 「アイアイサッサー♪」 陽気に歌いながらずんずんずんずん進みます。 「前方に大木発見大木発見、大木警報を発令します。チリチリチリリン」 「ボクにお任せ〜」 こういう場合はオノッキの出番です。大斧を構えてズンズン切り倒します。 「任務完了、ハレハレロー♪」 「障害物撤去確認、前進再開」 「アイアイサッサー♪ホイサッサ―♪」 こんな風にして兄弟仲良く進んでおりました。 ですがある時ツルピィーはオノッキにこう言いました。 「スコッピオ兄貴はいつも命令しとるけども、いつも頑張っておるのはおい達じゃなかか?」 するとオノッキはこう答えました。 「スコッピオ兄貴はスコップだからやる事がないのさ〜」 それでも腑に落ちないツルピィーは尚も言いました。 「じゃあ、やっぱりスコッピオ兄貴は命令だけじゃなかか」 そう言われている内に何とオノッキにも不満が生まれてきてしまいました。 そして何と言う事でしょう、ツルピィーとオノッキはスコッピオを置いて二人で行く事にしてしまっ たのです。 「・・・・・・・・」 スコッピオは何を言われても、哀しそうに心配そうに、ただ二人を見送る事しか出来ませんでした。 「ホーッホッホ、ホッホッホ。わしら陽気な開拓者〜、ツルハシ斧でガシガシ行くよ〜♪」 二人は大岩と大木を乗り越えながらズンズン進みました。 「ほれ見ろ、スコッピオ兄貴がおらんでも変わらんじゃなかか」 「そうだね〜。ボク達だけで充分なのさ〜」 二人はこうして順調に進むかと思われました。けれども、暫くして・・。 「腹減ったのう、ツルピィーおいに芋くれ」 「ん、芋なんて無いよ〜」 「何言っとるか。いつも芋あったじゃなかか」 「そうだけど、今は無いよ〜」 「されはおいの分も食べる気じゃな!」 こうして二人は大喧嘩を始めてしまいました。 やがて日も暮れて疲れ果てた二人はぐったりと座り込んでしまいました。 「ツルハシと斧じゃあ、芋は掘れんき」 そして何気なくツルピィーのぼやいた一言に二人は気付きました。 何と言う事なのでしょう、散々二人が不満をぶつけたスコッピオが毎日毎日二人の為に芋を掘ってい たのです。二人が知らない休憩や寝てる間に一生懸命休まずに。 「何てことじゃあ〜!」 「あわああわわわ〜」 二人は疲れも忘れ。大急ぎでスコッピオの元に帰り、一生懸命謝りました。スコッピオは黙って芋を 差し出して。 「腹減っただろ、食べなさい」 とだけを言いました。普段のスコッピオと変わらないスコッピオでした。 そして今でもこの三人兄弟は仲良く楽しく何処かを探検しているみたいです。あの陽気な歌声を響か せて。 「わしら陽気な探検家〜、ヤッホホウのホイ♪ホッホーホッホーホッホッホー♪」 そんなお話し。 |