心餅


 もし僕の心が餅のようだったら。

 いつまでもどこまでも引き伸ばし。

 引き伸ばす事でうすーくうすーくなり。

 中にあるものをようく見せてくれるのかもしれない。

 それともうすーく引き伸ばされた心は。

 その心自体も薄くなって。

 結局何も見えないのだろうか。

 何度も何度も打ちのめされた心。

 それでもへこたれず、潰されずにやってきた。

 きっと餅のように何度も何度も突かれて。

 やわらかく、ぐにゃりと伸びるに違いない。

 強くなるという事はきっと鈍感になるという事で。

 それはつまり心自体が薄まっているという事である。

 どんな風にも姿を変えられるという事は。

 どんな姿でも無いという事。

 心を見ようと思う事が間違っているのかもしれない。

 心なんてものはどこにもなくて。

 自分というものもどこにもなくて。

 けれども意志というものは確かにあって。

 そんな訳の解らない心だから。

 この世界の誰も自分の事を何一つ知らない。

 せめてそれが本物のお餅のように。

 美味しければ良いのに。




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