幻想と言う小物


 私は夢に見ます。

 色んな事、色んな頃。

 過去から、果ては知るはずも無い未来まで。

 未来はもしかしたのなら、無数の記憶から紡ぎ出される一番可能性のある未来。

 それとも、妄想。或いは願望。

 解りません、解りませんが。

 それは不思議な現実味を帯びていて。

 いつもそれは現実でした。

 夢か現か、だとすれば今も夢なのでしょうか。

 それも解りません、解りませんが。

 ただどちらも懸命に生きている気はします。

 そう思えるのだからどちらがどうでも、悪い気はしない気もします。



 私は思い浮べます。

 いつも何かを、誰かの事を。

 それに意味があるのか、無いのか。

 どちらでも何でも良いのです。

 ただ想い浮かべる。

 それが楽しいだけかも知れません。

 考えても苦しいだけかも知れないですが。

 それだけで良い気もします。

 それが夢なのかも。

 だから尚更夢も現も無いのです。



 幸せも朧げで。

 ある時は夢を見ているようで。

 無い時は途方も無く現実で。

 解りません、解りませんが。

 それも確かにあるのでしたら。 

 夢も現も同じかも知れません。

 だとすれば今の私は何者で、一体何をしているのでしょうか。

 感覚はいつも幸せ以上に朧げで。

 目に映るものは形だけで、大事な事は見えなくて。

 だから全てが不確かでしょうか。

 私自身も不確かでしょうか。

 確かなのは今この胸奥に感じているものだけでしょうか。

 解りません、解りませんが。

 それで良いのかも知れません。



 ただ考えられるのならそれだけで。


EXIT