心とは方円の上に乗る、一つの球に似ている。

 その形状は人各々に異なり、また在る場所も一定せず、その都度変わる。

 球が転がる方向が、即ち意志であり、現実の行動である。

 ただしどの球も真球ではなく、いずれかへこみ、いずれかは出っ張り、大抵は真っ直ぐには転がらない。

 よってその球によって向い易い方向が在る。この個体差が好みであり、傾向である。

 方円の端は外界からの力に寄って常に上下されている。その力がかかる場所も強さも一定せず、環境に

大きく作用される。

 それから生れる角度が感情である。

 この角度が大きければ大きい程、球が転がるべき方角は自ずと決まってしまう。抗えぬ角度になる事も

多いようだ。

 こうして常に留まる事無く、球は上下左右四方八方へと動いているのである。




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