小さな真白


 誰の身体の中にも健康を保つ為に働く真白という生物が居ます。

 光のように見えないので、皆真白と呼んでいるのです。

 真白はどうにかしていつでも身体を安定させようとします。

 その方が彼らにとっても住み心地が良いからです。

 真白は変化というものにとても弱い生物で、急に環境が変わるとすぐに死滅してしまい、彼らの助けを借りられ

なくなった人間は病気といわれる状態になります。

 一番多いのが風邪でしょうか。

 詳細は解らないが、とにかく菌やら何やらが悪さしているのだろう。という風に診断されがちの病ですが。よう

するに真白が減って、健康を保てなくなるから色んな所に支

障が出てしまうのです。

 真白が多いか、少ないか。人の健康はそれだけで決まる事も多いと言います。

 真白は簡単に死んでしまうのですが、実はほとんどの食べ物に宿っていて、食べる時にこちらに移り住んでくれま

すので、増やすのも簡単です。

 減るのも増えるのも簡単という訳です。

 多分、色々なものが単純にできているのでしょう。簡単単純こそがもっとも強靭。繊細複雑こそがもっとも弱い。

そんな事はわかりきっている事です。

 真白は自然の中に数え切れない程存在しています。

 岩や水の中にさえ居ます。

 でも自然にないもの、つまり人工物にはほとんど居ません。全く居ないと言ってもいいくらいです。

 どうも肌に合わないというのか、住めないようです。だから人工物ばかり食べていると、真白の補給ができなくな

り、人の身体は急激に弱っていきます。

 運が良ければゆるやかに弱っていくだけで済む事もありますが、その場合も人工物に頼る限り、それ以上健康にな

る事も改善される事もありません。

 真白は人の身体にとってそれだけ大事な生物なのです。

 人は彼らと離れて生きてはいけません。

 だから自然のから毎日沢山摂るしかないのです。そもそもそれが食べるという行為が生まれた理由だとまでいう人

も居ます。

 そんな真白が、あなたの身体には、どれだけ住んでいますか?

 身体の弱い人、疲れやすい人、すぐに病気になる人、あなた達にはもしかしたら真白が足りていないのかもしれま

せん。

 愛情でも、気遣いでも、優しさでもなく。あなたには真白が必要なのです。

 絶対に。

 そんなお話。




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