彼女の目線


 気付くと彼女はいつも一段高い場所に居る。

 歩いている時とか、電車内とか、そういう場所では仕方なく同じ高さに立っているけれど。階段や何か乗

れる場所が在る時には、彼女は必ず一段高い場所に居る。

 長い間不思議に思い、気になっていたけれど、ある時ふと気が付いた。

 彼女はいつも僕と目線が同じ。確かに一段高いけれども、決して見下ろされてはいなかった事に。

 そう、彼女は丁度一段分だけ、僕よりも背が低かったのです。

                                                         了




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