もこもこねもふる


 もこもこねもふる。それは魔法の言葉、古から伝わらないけど、別に確証も何も無いけれど、とにかく

不思議な魔法の言葉。

 それを唱えれば力溢れ、それを唱えれば元気が湧き、それを唱えれば何でも上手くいく。

 それを唱えれば幸せが心に満ちて、それを唱えればミイラも生き返る、ってそれは言い過ぎだけれど。

不老不死の効果とかも無いけれど、とにかく少しだけ幸せになれる魔法の言葉。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 ねこもこもこねこ。

 少し違っても気にしない。気にしない、それが一番大事。

 つまりは気にしない、疑わない、素直さを失わない。馬鹿馬鹿しいと思っても、ほんの少しだけでも信

じる事。それがきっと幸せへの道標。

 すなわち、もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 催眠術だと思った貴方、それでもそれでも気にしない。

 これは間違いないと思ったお方、貴方は幸せになります。

 騙されたと思って、いやむしろ騙されてみて下さい。

 そして唱えるのです。誰か見てると恥ずかしいから、そっと一人で片隅で。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 ほら、ほんの少しだけ幸せな予感、略して幸せ感が来たのが解るでしょう。

 いやいや来たはずです。何しろ魔法の言葉を唱えたのだから。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 最早四の五の言わせません。きっと確かに幸せだから。

 見てみましょう。聞いてみましょう。ほら周りをそっと窺って。何やら楽しげな事、楽しそうな顔、楽

しそうな声がしませんか。いやするはずです。しない人は素直に違う場所へと移動しましょう。

 ええ、どんな鉄砲も当たるのです。撃ち続けてさえいれば。

 無理矢理なんて言ってはいけません。強引なんてとんでもない。それもまた一つの道なのです。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 いよいよ幸せになって来たに違いない。いやもう幸せ過ぎて怖いはず。

 それもまた幸せ。過ぎても良い唯一のモノ、それが幸せなのです。だから思う存分謳歌しましょう。自

分は幸せだと、そう思うえば全ては癒されます。

 自分は幸せ、そう思える事が小さな幸せ。だから。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 二百回でも三百回でも唱えるのです。

 もこもこねもふる。

 ふるふるもこもこ。

 少し間違えても気にしない。効果はずっと同じはず。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 時には強引に。

 時には力強く。

 時にはゆっくりと歩くような速度で。

 時には折り返し。

 時にはお菓子を食べたりして。

 ねこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 何度も何度も唱えましょう。唱えただけ幸せになれるのです。幸せは消えずに増え続けるのです。

 それは素敵な魔法の言葉。それは素敵なほんわか嬉しい言葉。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。

 もこもねもふる。

 もこにもこもこもこなふる。

 綿毛のように柔らかに。風に吹かれてゆったりと。幸せ気分で行きましょう。

 もこもこねもふる。もこもこねもふる、と。

 全てを癒す、魔法の言葉。

 もこもこねもふる。

 もこもこねもふる。




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