青白い花


 青い花が咲けば空は晴れます。

 白い花が咲けば空は曇ります。

 白い雲に覆われた空は美しいですが、とても暗いです。

 太陽を閉じ込めてしまいます。

 でもずっと光を独り占めにしていると雲が焦げてきて、真っ黒になってしまいます。

 すると雲は熱くてたまらないので、冷やそうと雨を降らします。

 でもずっと降らしていると力を失って、雲はみるみる小さくなって消えてしまいます。

 そうして広々とした空を太陽の光が降り注ぎ、新たな花が咲くのです。

 青い花が咲けば空は晴れ。

 白い花が咲けば空は曇ります。

 では青白い花はどうでしょうか。

 青くもあり、白くもあり、どちらでもあってどちらでもない色の花。

 より青い花もあれば。

 より白い花もあります。

 青白い花は、それ自体にも違いがあります。

 だから決して誰とも一緒ではありません。

 曇りもせず、晴れもしません。

 どちらにも入れません。

 空もずっと暗いままです。

 青ければ、白ければ、どちらかなら上手く働くのに。

 青白い花はそれだけでは何ももたらさず、暗闇だけを好みます。

 太陽が嫌いなのかもしれません。

 空の青さが嫌いなのかもしれません。

 自分自身が嫌いなのかもしれません。

 青白い事に希少価値を付けたとしても、そこにある虚しさは消えません。

 かといって青にもなれず、白にもなれず、今に到るのでした。

 青白い事を望んでいた訳ではないのに。

 いつからからどちらにもならなくなる。

 どちらにも憧れ、どちらにもなれなかった青白い花。

 それはどこにでも咲く、ありふれた、だからこそ悲しい花。




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