人が死ねば、その身体は土に還ります。 生命を失った肉体は、全て土に還るのです。 しかし何故、人は生きている間に土に還らないのでしょうか。 それは人の中で土化と必死に戦っている存在が居るからなのです。 これら反土は毎日毎晩、「エイヤッ、エイヤッ」と一生懸命土化を押し返しています。皆一緒に集まっ て、必死に必死に戦っているのです。 土化は諦めずやって来ます。だから防ぐ為には頑張って押し返し続けるしかないのです。 でも押しても押しても土化は怯みません。止まる事無く、ずっと押して来ます。 だから押し返す方も休む暇がありません。ずっと押し続けなければ土にされてしまいます。少しでも気 を抜くと、少しでも力を緩めてしまうと、逆にエイヤッと土にされてしまうのです。 反土は一生懸命押します。でも土化も負けていません。 エイヤッ、エイヤッ。エイヤッ、エイヤッ。 どちらも声を挙げて一生懸命に押します。 何故土にしたがるのかは解りません。でも押し負けると土にされてしまう。だから押さないといけない のです。一生懸命押し返す事が、生きる、という事なのでした。 生きる為には、一生懸命押し続けるしかないのです。反土は頑張り屋なのです。 でもそんな頑張り屋の反土の中にも、たまにはサボってしまう反土がいます。 自分一人くらい休んだって良いだろうと、そんな風に思って、力を緩めて押している振りをする。 すると一気に土化に押されてしまいます。皆で一致団結してやっと押し返せるのだから、誰か独りでも サボると、ほんの少しでも手を抜くと、ぐいぐいと物凄く押されてしまうのです。 「おい、サボるなよ!」 「ちょっとくらい良いじゃない」 「ちょっとくらいって、そのちょっとでヤバくなるんだよ!」 「わ、本当だ、ヤバイ」 「急げ、急げ!」 反土はそんなやりとりを毎日しています。毎日誰かがサボり、でも毎日皆で説得する。サボっていた反 土も土がみるみる押し寄せてくるものだから、慌てて仕事に戻ります。 サボリ反土も土になるのは嫌ですから、もう一度頑張ろうと思うのです。 一人でも欠けたら、人は生きられないのです。 「エイヤッ、エイヤッ」 反土は押し続けます。 でも土化も必死に押してきます。 どちらも一人でも欠けては負けてしまう。皆頑張っても勝てないかもしれない。でも一人でもサボれば 負けてしまう。 だから皆毎日毎晩休まず頑張っているのです。 土になれ、土は嫌だ、と頑張っています。 目を閉じて、耳を澄ませば、貴方にも聴こえて来るでしょう。貴方の中で、毎日頑張っている彼らの声 が。彼らの頑張りが。 エイヤッ、エイヤッ。 エイヤッ、エイヤッ。 貴方と一緒に生きているのです。 |