ある島にて・・・（二十二日目会合前）

二十二日目（会合前）

　今日は憂鬱と共に目が覚めた。

　何故かは知らないが寂しいような。

　それでいて何か足らないような、そんな変な気分が付き纏う。

　別に何が辛い訳でも寂しい訳でもないのに。

　何故か酷くもの淋しい。

　

　それでも起きて食事を取り。

　洗面を終えると。

　そんな気分は何処へやら何も無かったようにいつもに戻る。

　だがこんな漠然としたものはふと鎌首を擡げて来る。

　もしかしたら不安が無いのが不安なのか。

　それとも現状に慣れてしまった故の不安なのだろうか。

　人の心は不変では無いけれど。

　不変だと信じたいものもある。

　それが何かは解らないけれど。

　また空を見上げてみる。

　ふわふわと漂って見えるあの白い物を。

　綿菓子ならいいなと思った人に突っ込んで周りたいと思ったのは私だけだろうか。

　

　森を散策に出かける。

　何となくそんな気分だった。

　枯れ落ちた木々を踏みしめるようにゆっくりと歩く。

　何をするでも無く何を思うでもなく。

　でもたまにはこうしている方が何だか頭がすっきりするような気がする。

　別に樹や空気がどうという訳ではなく。

　ただ雰囲気なんだろう清々しい清浄な雰囲気が。

　とは言え良く解らないのが本音だ。

　まったく人間何か解るのだろうか。

　解る事と言えば・・・とにかく腹が減った。

　後は眠いと痛いくらいかな。

　道から外れているので果実も見当たらない。

　ふと見ると例の不味い木の実が目に付いた。

　試しに口に放り込んでみる。

　ほろ苦いものが口の中に広がる。

　それに甘酸っぱいものが加わる。

　何故か少しだけ美味くなってるように感じた。

　良く見るとちょっとだけ赤い。

　もしかすると熟れてなかっただけなのか。

　しばらく行くと開けた場所に出た。

　青々と茂った草々が横倒しになっている。

　草の布団と食べ散らかされた果物の種。

　誰がの住処だろうか。

　しかしこんな道から外れた所に住むのは私ぐらいかと思ったが。

　

　しばらくぼんやりとしていると。

　がさがさ、がさがさと葉の擦り合う音が聞こえてきた。

　振り向くとそこには。

BACK・ EXIT・ NEXT