14-13.

 懲りずに探していると、ようやく生きた鎧を見つける事ができた。開け方が解らなかったが、試しに開

錠の魔術を唱えてみると、あっさりと開く。この鎧が魔力を増幅してくれたのか、それともこの鎧自体が

鍵になっていたのかは解らない。どうにも解らないだろうから、あまり深く考えない事にする。

 たまたまだろうと必然だろうと、今は開きさえすればどうでもいい。

 衝撃でやられたのか、何かの魔術でそうなったのか、中に居る鎧種には外傷が見えなかった。

 それでも触っても動かないし、まず死んでいるだろうと思われる。もしかしたら仮死状態かもしれない

が、遠慮なく鎧を使わせていただく。生とは非情なのだ。

 冥福を祈りながらいそいそと中身を出して、取り合えずクワイエルが入ってみた。

 手足を入れると、鎧の方が勝手にあうように調整してくれ、すっぽりと体が収まる。その為に多少大き

めに作られているのかもしれない。これなら大抵の種が使えそうだ。

 中は丁度良い温度に保たれ、一通り確認してみたが、どこといって不調な箇所は見えない。まあ、どう

せ見ても解らないのだが、気分的には大丈夫そうだ。魔力波もほとんど感じない。鎧が全て吸収してくれ

ているのだろう。

 何か画面に表示されているのは、おそらく受け取った魔力波の量なり何なりを表しているのだろうが、

よく解らない。見た事のない記号が現れては消えていく。

 すっぽりと収まっている体を動かしてみる。

 問題なく動く。するとまた様々なものが視界を覆わない程度に表示されたが、意味は解らない。とにか

く動くのは動く。

「問題ないようです。魔力波の影響も全くありません」

「なるほど。じゃあもう一つ探そう」

「ええ」

 頭を動かすと、視界が動く度に画面上に様々な情報が表示されていく。暫く見ていると、それが生存者

や鎧がまだ活動しているかを表している事に気がついた。

 文字と色で丁寧に分けて表示してくれている。

 後は実際に調べてみたりして、どれがどういう意味を持っているかを少しずつ覚えていった。

 確かにこうも敵味方がごてごて混じっていたら、こういう機能がなければ生存者の確認が出来ないだろ

う。他にもレーダー類に優れ、様々な機能が付いているような気もするが、よく解らない。クワイエルが

理解できるのは、極々簡単な事だけだった。

 とにかくそれを参考にして探すと簡単に生きている鎧を見つけることができた。

 残念ながら生存者は鎧種、屈強種問わず居ないようである。クワイエルでも簡単に判別できるくらいだ

から、とうに救出しているのだろう。

 ハーヴィも鎧にすっぽりと身を収め、二人で適当に練習してみる。動くだけなら特に特別な操作は要ら

ないので、すぐに慣れた。

 試しに死んでいる鎧を殴ってみると、容易くへこませる事ができた。全力で打ちかかれば、粉砕する事

さえできるかもしれない。

 つまりこの鎧の装甲を身に着けただけでは、防御能力は期待できないという事だ。鎧が起動し、魔術が

発動して初めて真価を発揮する。

 それがただの魔力増幅ではなく、この鎧自体に力があるのだとしたら、クワイエル達でも鎧を着れば互

角に戦えるのかもしれない。しかしこの鎧がただの機械ではなく、魔力と密接に関係しているだろう以上、

そういう期待も儚く消えた。

 鎧種が身に着ければ、発揮される力はこんなものではないだろう。

 せめて敵対しても逃げられるくらいの力が出せていれば良いな、などと淡い期待を抱きつつ、二人はさ

らわれてきた場所を探す。

 鎧には周辺の地図なり何なりを見る機能くらいはある筈だが、操作方法が解らない。下手にいじって壊

しでもしたら申し訳ないし、彼ら自身も困ってしまうので、方角に大体の見当を付けて行く事にした。

 屈強種は西から来た筈だから、大雑把に東へ向かっている。

 雲を掴むような話だが、鎧もあるし、何となくどうにかなるような気がしていた。

 勿論、そこには何の根拠もない。



 東、東へ進む。

 時折鎧を少しだけ開けて魔力波を確認しているが、少しずつ弱くなっているような気がする。主戦場か

ら離れているという事だろうか。

 でもまだ直に触れるには厳しいものがある。生身の仲間達がここに居たら、きっと体に相当な負担がか

かっていただろう。

 二人はそれを思うと、自分達だけこんないいものを使っている事に申し訳なさを覚えてきた。

 でもこの鎧を使えば普段の数倍も速く移動できるので、それはそれとしてこのまま使う事にしている。

合理的というべきか、計算高いというべきか、そういう部分があるのも魔術師である。

 しかしそれでいて何の当てもなく動くのもまた魔術師。

 予想通りというか、当たり前というか、元居た場所らしきものは何一つ見えない。今まで通った場所で

も時折屈強種の遺骸(いがい)や鎧の残骸(ざんがい)を見てきた事を考えると、この種は互いに発見し

ては戦っているようで、元居た場所が戦場跡の付近である事は、何の参考にもならない。

 それでも思う様進んできたが、そろそろ不安になってきた。

 こういう時は何となくお互いに引き付けあい、合流できたりするものなのに、と思ってみても、世の中

そんなに甘くはない。いつもいつも都合よく進むとは限らないのだ。

 そこで幸運に頼るのを諦め、いや、一応運にも頼っておく事にして。

「マン、ウィン、ラグ  ・・・  我らを、幸運へと、導き賜え」

 元居た場所をイメージするのは難しいので、代わりにエルナの顔を思い浮かべて魔術を行使した。

 エルナの顔は自分でも思っていたよりはっきりとイメージする事ができた。それだけ師弟の繋がりが強

いという事なのか、特別な人物だと思っているのか。

 珍しく少し動揺したような気がしたが、クワイエルは構わず魔術を行使する。

 そしてエルナの笑顔がはっきりと思い浮かんだ時、現出した魔術の光が強く一つの方向を示した。

 二人は迷わずそちらへ向かう。

 訳の解らない場所に出る可能性もあったが、全く何の当てもないよりはましだ。

 それにクワイエルは何となくこの魔術だけは成功しているような気がしている。

 そして思い出す。この大陸に初めて来た時の事を。

 あの時、今のように何の当てもなかったクワイエルは、運試しでこの魔術を行使した。そして文字通り

運良くそれが成功し、無事ギルギズトの街まで辿り着く事ができた。

 もしあの時しくじっていたら、今のクワイエルはなかったかもしれないし、あの時点で野垂れ死んでい

た可能性もある。

 当時のレムーヴァは調査など持っての外で、安全に暮らすというだけでも難しい段階にあった。

 それから数多の苦難を越え、鬼人を筆頭とする多くの他種族の協力のおかげで今のクワイエル達がある

が、そもそもはクワイエルの運一つが始まりだったのだと言えなくもない。

 つまりこの魔術が全ての始まり、もしかしたら全ての不幸の始まりだったのかもしれない。

 この大陸にとって、他種族にとって、必ずしもクワイエル達と繋がる事が幸運だったのかは解らない。

 それでも始まって、今も続いている。

 どこで切れてもおかしくはなかったが、今もまだ続いている。これからもずっと続いていくのかもしれ

ない。

 こんな場所でおかしな鎧に包まって、必死で仲間達を探している今の姿を、一体いつの自分が想像でき

ただろう。

 それを思うと、なんだか妙におかしくなって、クワイエルは一人にやけていた。

 鎧を着ていたから良いが、もし素でハーヴィに見られていたら、ハーヴィはとうとうクワイエルはおか

しくなってしまったのかと思い。ああ、今までは本当に正常だったんだな、と知る事ができて、少しだけ

安心したかもしれなかったが。残念ながらそうはならなかった。

 ともかく光の示した方角へと二人は真っ直ぐに進んでいく。

 迷いなどない。

 それは彼らが愚かだったからか、それとも純粋だったからだろうか。

 それもまた、解らない。



 鎧の力を惜しまず進んで行くと、懐かしい魔力を感じてきた。まだ距離はあるが、鎧のおかげで自然と

探知能力も増している。特に操作しなくても、装着者を補助する機能があるようだ。これなら一日中着け

てても飽きないだろう。

 でも余り頼りすぎると、鎧無しには何もできなくなってしまうのかもしれない。だから鎧種は必要のな

い時は脱いでいたのだろうか。

 道具に対して失礼な言い方だが。確かに道具に使われるようになってしまったら、おしまいである。

 道具に頼りがちなクワイエル達も反省しなければならない。それを上手く使っているうちは良いが。そ

れがないともう生きていけない、という風になったら、もうどちらが主人か解らなくなる。

 クワイエルは用が済んだらすぐにこの鎧を脱ぐべきだと決心した。

 この鎧があれば大陸の調査が随分楽になるだろうし、危険も大幅に減少するかもしれない。

 でもそれは違う。そんな事をして最奥まで辿り着いたとしても、自分達は何も得られないだろう。逆に

何かを失ってしまうような、そんな気さえする。

 この鎧の力で魔力を増幅されていてそう思うのだから、それは明確な事実なのだろう。

 そんな事を考えている間に、懐かしい魔力が更に強まり、鎧内の画面上に求めていた人影を発見した。

 エルナ、ユルグ、レイプト、皆揃っている。さらわれたのはクワイエルとハーヴィだけだったのだ。

 二人の鎧は喜び勇んで、三人へと駆け寄った。



 再会は散々だった。

 当たり前だ。こんな鎧が二人、恐ろしい速度で真正面から向かってきたら、それは吃驚するし、恐怖も

する。逃げもすれば、魔術で反撃したりもするだろう。

 幸も不幸もこの鎧を着ていたおかげで何の影響もなかったが、鎧を着ている事を思い出し、慌てて脱い

で出た所にレイプトが放った雷球の一撃をくらったものだから堪らない(機械っぽいから雷なら少しは効

くかもしれない、と彼は考えたらしい。その事自体は後日褒めておいた)。

 何の対処もしてなかったクワイエルは見事に伸びて意識を失い。それに気付いたエルナが慌てて介護し

たりもして、大騒ぎになった。

 処置が速かったおかげで大事にはなっていないが、暫くは安静にしていなければならないという事で、

退屈な時間を・・・・。いや、クワイエルはその間ずっと鎧を見たり、この地の植物を観察したりと、そ

れなりに有意義な時間を過ごしたようだ。

 恐るべきは魔術師、いや、クワイエルであろう。



 クワイエルが回復した所で、今までお互いが体験した事を話し合う事にした(伸びている間にもクワイ

エルを除いたメンバーで話し合ったようだが、クワイエルにそれを教えるという意味で)。

 クワイエルとハーヴィがさらわれた時、他の三名は何も出来ず、気付いたら全てが終わっていた後だっ

た。もしかしたら何か魔術をかけられて拘束されていたのかもしれないが、そういう記憶さえ残っていな

いらしい。

 何故この二人が選ばれたのか。それはおそらく魔力が高かったからだろうが。どちらが先にさらわれた

のか、或いは両方同時だったのか、その辺の事は解らない。とにかく気付くと全ては終わった後で、エル

ナ、ユルグ、レイプトの三名だけが残っていた。

 仲間とはぐれた時、特に目印となるものや集合場所を決めていない場合、その場所に留まっているのが

一番いい。しかし流石にここにそのまま居るのは危険であると思えたし、二人がさらわれたのならおそら

く自力では脱出できない。

 実力の差がはっきりしている。手助けしてやらなければ、脱出できる可能性はゼロだ。

 そこで考えた末、屈強種、鎧種、この二種が東西から来ている事から、とにかくどちらかへ行ってみよ

うという事に決まった。

 この時点ではまだ三名は二人がそれぞれ別の種にさらわれたとは考えてなかったから、どちらに行くか

で相当に悩んだ。

 結局西へ向かう事にし、当てもなくただ西へ西へと進んできたのだが、突然今まで静かだった環境が一

変し、以前浴びたのと同じ、いやそれ以上の魔力波が吹き荒れ、たまらず三人は東へ進路を変え、安全と

思われる場所まで急ぎ引き返した。

 結局さらわれた場所よりもはるか東に移動する事になってしまったが、彼らとしては他に選択肢はなか

った。そこでいっそこのまま東へ向かおうという事になり、東進を続けたという。

 その途上でいきなり鎧が現れ、こちらへ向かって一直線に向かってきたので恐れを抱き、ああいう事に

なってしまったという訳だ。

 居残り組としては順当なやり方というべきか、多分クワイエルかハーヴィが率いていても、同じ結果に

なっていた。

 そういう意味ではこれも運命といえるのかもしれないが、だからといって慰(なぐさ)めにはならない。

 クワイエル達としては屈強種と鎧種に興味があったが、このまま居ても彼らの戦いに巻き込まれ、最善

でも良いように使われて終わるだけだと思われたので、両種争っているのを幸い、こっそりと北に進んで

しまう事にする。

 謎は謎のままになってしまうが、命の方が惜しい。

 そしてどうせ行くなら少しでも速い方がいいという事で、ハーヴィ、クワイエルが鎧を着て、それにエ

ルナ、ユルグ、レイプトの三名が乗っかって、急ぎ北へ向かう事になった。

 鎧の力は絶大で、鼻歌でも歌っている内に北の境界にまで達し、そこで鎧を脱ぎ捨て、無事脱出する事

ができた。

 それは呆気なく、屈強種、鎧種のクワイエル達への関心の薄さを物語っているようにも思えた。



 境界に映える淡い森を抜けると、豊かな河川が広がっていた。

 それも一つや二つではない。無数の川がそれだけの為にそこに在る。それらは複雑に交わり、不思議な

景観を形作っていて、その数は奥に行くに従って増えていくようだ。

 草木もまばらにしか生えていない(生える場所がない)為、遠くまで見通せるが、最奥の方はもう河川

しか見えなかった。その先には靄(もや)がかかっている。

 小さな川、大きな川。浅い川、深い川。ゆるやかな川、急な川。まさに川、川、川。川なら何でもあり

そうだ。

 水中には無数の魚や小動物が居て、豊かな生態系を静かに形作っている。

 試しに手を入れてみると、ひんやりと冷たい。それだけはどの河川も変わらなかった。若干蒸し暑い気

候の中でこの冷たさはありがたく。水質も問題なかったので、持っていた容器に入るだけ汲んでおいた。

この水達はこれからも彼らを救ってくれるだろう。

 どうせなら魚も獲っておこうという事になって、さっきまでのあわただしさが嘘のように、のんびり水

辺に座って、魔術で作った道具を用い、魚や水中生物を獲り始める。

 魚達は今までそういう事をされた経験がなかったのか、簡単に釣り上げる事ができ、試しにクワイエル

が一匹焼いて食べてみると、大変な美味だった。これはいいという事になって、尚更元気よく捕獲し、そ

の後は荷物整理などで一日が無事潰れたのである。



 起きてみるとクワイエルの姿が消えていた。

 見張りに立っていたレイプトに聞くと、水浴びに行ったらしいが、そろそろ一時間が経つ。一応探しに

行った方が良いのではないか、と考えている所にエルナが起きてきたらしい。

 エルナは心配になったので、クワイエルの向かった方角を聞いて、そちらへユルグと共に向かった。何

がどうなっているか解らない以上、単独行動は慎むべきだと考えたらしい。

 この辺が彼女の偉いところで、クワイエルなどとは根底から違う。

 二人で進んで行くと、何やら大きなものが川面を飛び跳ねているのが見えてきた。

 丁度日光が差す方角だったのでまぶしくてはっきりとは見えないが、どうも普通の魚とは違う。少なく

ともこの河川に居た他の水棲動物とは違うように思える。

 他種族ではないかと思い、二人は恐る恐る近づいて行った。

 するとクワイエルに良く似た服を着ている、彼に良く似た魚が派手に動いている姿がはっきりと見えた。

 それはもう明らかに彼で、全ての特徴がそうである事を示していた。唯一つ違うのは、それが魚だとい

う事。これは確かにクワイエル魚である。

 えらもあるし、ヒレもある。背びれ胸びれも勿論あるし、尾びれまで揃っている有様だ。

 エルナはもう驚きすぎて声すら出なかったが、ユルグは慌てて彼に近づき、がっしりと捕獲した。クワ

イエル魚は全く抵抗もせず、捕まえられた後はほとんど動かない。

 すっかり観念しているようで、後は自然の流れに身を任せるつもりであるようだ。

 ユルグは肩にクワイエル魚を担ぎ、ともかくハーヴィ達の許に戻る事にした。

 しかし戻った彼女達を待っていたのは、二匹の新たな大魚だったのである。



 ユルグはあまりの事に思わずクワイエル魚を落とした。

 クワイエル魚がくぐもった声を上げたような気がしないでもないが、魚だから多分気のせいだろう。

 何故こうなったのか、今となっては見当がつく。

 多分この地の生物を食したからだろう。同じく水を飲んだ彼女達が平気なのだから、それ以外に原因は

考えられない。

 そしてだからこそ、この地の生物は上手く共生できていたのか。

 大小さまざまな生物が同じ所に住んでいる。そしてそれが変わる事はない。それはつまり互いに食らい

あうという行為がないからだ。

 少し見ただけなのでその異常さに気付けなかったが、おそらくどの生物もこういう毒といえるものを含

を含んでいる。だから見た目は静かで平穏なのだ。

 それを証明するように、付近には焼き魚を食べた跡がある。河川が多いから平気だろうと火を焚き、調

理した跡が。

 焼き魚を食べるのはエルナ、ユルグも楽しみにしていた。ここの所火を用いず、生だったり魔術で加工

した物を食べていたが。やはり魚はじっくりと火を通してこそ美味い。

 魔術で作った料理は手軽で悪くないが、どうしても味気なさがある。何故かは知らないが、物足りなさ

を感じるのである。

 自分で調理したものが一番いい。

 しかしそんな情念がこのような悲劇を生んでしまう事になるとは。

 確かに彼らは油断していた。この平和そのものの光景を見て、何故ここがそんなに平穏であるのかを考

えもしなかった。

 何であれ、そうなるだけの理由がある。ここが平穏ならば、争わないだけの理由があった筈なのだ。

 それを探る事を怠(おこた)った。全ては彼らの怠慢が招いた結果である。

 エルナとユルグは途方に暮れたが、このまま呆然と立っていても仕方がない。とにかく陸上ではどこと

なく苦しそうに見えたので、三匹とも水中に投げ捨てておいた。

 この図体なら見失う心配はないだろう。

 それから二人で話し合う。元に戻る方法があればいいのだが、例えあったとしても見当がつかない。

 唯一前向きな疑問があるとすれば、クワイエルが食べてから変身までに時間がかかったのに、何故ハー

ヴィとレイプトはすぐにそうなってしまったのか、という点だろう。

 これを解明する事ができれば、何となく何とかできるような気もしないではない。

 しかし肝心のその解明の方法を思いつけない。

 エルナとユルグはもう一度途方に暮れ、いつものように味気ない食事を摂ったのだった。




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