14-14.

 クワイエルとハーヴィ達が食べた魚は同じ種類だ。同じ場所から同じような魚を食べ、そしてその調理

方法も同じ焼き魚。三匹の大魚の特徴も似ていたし、同種の魔術によってそれがなされたものだと決定付

けるには充分だろう。

 では何が違ったのか。

 食べた後起きていたのも同じだし、クワイエルの場合は荷物整理など、ハーヴィ達は休憩中、という違

いはあったが、そんなものが大きな違いになるとは思えない。

 もしかしたら個人差なのだろうか。それとも誰も知らないだけで、クワイエルも短時間の内に魚化して

いたのだろうか。

 そういえば、魚を食べてからのクワイエルは一人で行動していたような気もする。という事はこの三人

の間には何も差は無かったという事か。

 気付かなかっただけで、クワイエルは人知れず魚化していたのだ。多分。

 残念ながら早々と手掛かりを失ってしまった。

 エルナとユルグは三度途方に暮れる。

 魔術で強引に人間に戻すという手もあるが、大変に困難な魔術になるし。自分達よりも遥かに強大な力

を持つ種族がかけた魔術だとしたら、困難以前に不可能である可能性の方が高い。

 いっそここで諦めてしまい、魚になって一緒に暮らしてしまおうか、とも考えてみたが。エルナもクワ

イエルの影響を受けてなかなかしぶとくなっていたので、頑固なまでにその考えを拒否している。そっち

に向かう方が楽だからこそ、敢えて逆らいたい、そういう天邪鬼気質な所がある。

 ユルグも戦わずに敗北するような真似は嫌いであるから、ここに二人の意見の一致を見て、諦めずに方

法を探すという方針は変更されなかった。

 しかし方法を探すと言っても、どうすれば良いのだろう。

 考えた末に二人が出した結論とは、この魔術を行使した存在を探し、解呪してもらうしかない、という

誰でも考え付きそうな、そして結局は他人任せのものだった。自分達にどうにもできない以上、誰かを頼

るしかない。力の差だけは天邪鬼気質でもどうにもならなかったのである。

 その日はゆっくりと休んで疲れを癒す事にして、早々に眠った。



 二人はとにかく奥へ進んでみる事にして、三魚をほったらかしにしたまま、慎重に川を渡って行った。

 魔力の高いユルグを先頭にし、エルナが背後に隠れるようにして魔力探査に集中する。

 しかし多過ぎる水の流れが魔力の流れを乱しているのか、感じ取るのが難しい。そこで視力を増大させ

る魔術を用い、目に頼りながら進む事にした。

 勿論透視の魔術を使い、川底まで探す事も忘れない。

 これだけ河川が豊富なのだから、この地の種が水棲である可能性は高いだろうし、とても小さな種とい

う可能性もある。慎重に一つ一つの生物を確認しながら進んでいった。

 簡単な事ではなかったが、人数が少ない事で逆に役割分担と意思疎通がしやすく、馬が合っている事も

あって、案外苦労なくできている。

 ここで下手にクワイエルが無事であったなら、その好奇心をなだめるのに忙しく、調べるどころではな

くなっていたかもしれない。残ったのがエルナとユルグであった事に感謝するべきだ。

 この二人は魔力の大きさだけを考えれば、他の三人よりは少し劣るかもしれない。しかし魔術の使い方

が上手く、魔力も安定していて、クワイエルやハーヴィには及ばないものの、言ってみればとても使い勝

手のいい術者だ。

 魔術にも癖が少なくて合わせやすく、協力し合うのにも便利。その上この二人はいつも一緒に居て、当

たり前のように協力しあってきたので、魔力の波長のようなものを合わせるのにも長けている。

 そして何より、クワイエルのようにふざけた所がなく、真面目であり。ハーヴィ程思慮深くはなくとも、

その分行動力がある。このメンバーの中で二人で何かをさせるとすれば、おすすめはこの二人だろう。

 まあ、結局ここまでレムーヴァの奥地に入り込んでいれば、他種族との力の差は歴然なので、少々の相

性の良し悪しなど誤差にもならない程度かもしれないが。同性二人が残ったという事は、この二人にとっ

て気が楽だった事は間違いない。

 不謹慎といわれようと、そういうデリケートな部分はやっぱりある。

 気にしているという程ではなくても、そこそこは気にするのが心というものだ。

 心、感情とは複雑で、面倒なものなのである。

 そういう事にしておこう。

 正確には二人の他に音人のゲルもいるはずなのだが、鎧種、屈強種の膨大な魔力波を浴びたせいか、ペ

ンダントが反応し難くなっている。この調子では出てくるのは無理だろうし、通信するのも困難だ。

 ゲルが一番頼りになる魔術師なのだが、仕方が無かった。

 二人で何とかするしかない。

 覚悟を決めて進んで行くと、靄が濃くなってきて、視界が極端に悪くなった。奥の方はもう深い霧にな

っていて、全く見通せない。透視の魔術を使っていてさえそうなのだから、これは自然に生まれたもので

はなく、何らかの目的で奥を隠す為に使われた魔術、結界なのだろう。

 という事はあの河川で獲物を魚にした後、この奥に隠れていた種族がそれを喰らいにやってくるのだろ

うか。

 今の所動きが見えないのも、エルナとユルグを警戒しているからなのだろうか。

 そうだとすると三匹だけを残してきた事に少し不安を覚えたが、今更どうしようもない。元気に泳いで

いてくれる事を祈るしかない。

 あれだけの大きさなのだから、他の水棲生物に食べられるという事はないと思うし、都合のいい考えだ

としても、それを信じるしかない。

 もしかしたら小さいように見えて、大きな魚もぺろりと平らげてしまうような生物が生息しているのか

もしれないが、どちらにしても二人には祈る事しかできないのだ。

 考えれば考えるだけ不安が増してくる。それでも進むしかなかった。

 今から引き返しても、間に合わないだろう。



 どんどん深くなっていく。霧というには余りにも濃くなり、変化を抑制する魔術で全身を覆っているか

ら良いが。触れるだけで水が滴る程だから、何もしていなかったら体温が急激に低下して困った事になっ

ていただろう。

 この地の種はよほど水が好きらしい。

 唯一の頼りだった視界も利かなくなったので、二人手を繋ぎ、後は音に頼るしかなくなった。

 コウモリや鯨のように超音波で先を知る事ができれば良いのだが、そんな便利な機能は付いていないし、

魔術でやるにもそんな訓練は積んでいない。

 魔術で音波なり電波なりを発するのは簡単だが、それを使って情報を得るにはよほど訓練を積まなけれ

ばならない。

 それを読み取れる便利な道具もないし、頼りのゲルも居ない。魔術の限界というのは恐ろしく自分に近

く。魔力がどれだけ高まっても、できない事は多くある。

 所詮、自分という存在を超える事はできないのだ。

 ただし、時間をかければ話は変わってくる。生物が進化、退化を繰り返してきたように、他から強力な

魔力波を浴び続ければ、自ずとその肉体は強化されていく。

 いつかは全く違う姿にも変えられるのだろう。

 しかしそれも自分の望む通りにできる程、便利なものではない。結局環境に応じて変化するだけなのだ

から、受動的なものでしかないのである。自分から一方的に求める事はできないし。結果として変化する

に過ぎない。

 魔力での変化であるから、そういう思いを常に持っていれば、ある程度はそちらの方へ傾ける事ができ

るのかもしれないが。残念ながら、エルナもユルグも音波や電波などを意識した事はなかった。

 音に関してはゲルという力持つ存在がいたし、二人の出番は無かったのだ。

 今更悔いても仕方がない。

 感じ取れる魔力も霧の濃さのせいか益々乱され、すぐ側に居るはずの互いの魔力すら感じ取るのが難し

くなっている。

 このままでは六感全てを奪われ、どうにもならなくなってしまうだろう。

 もしかしたら、その為の結界なのか。

 二人がそう思い始めた頃、不意に霧が晴れ、視界を鮮明な光が埋めた。

 目を何度もしばたたかせて視界をはっきりさせると、そこには非常に大きな湖が広がっていた。いや、

もう海と言ってもいいかもしれない。視界全てを水が埋めていた。



 これだけの水がどこからきたのか。それは勿論、あの無数の河川からだろう。いや、この豊富な水から

あの河川が生まれているのか。

 どちらが先になるかは解らないが、とにかく密接に関係しているものだと思え、何かが居るとすればこ

こしかないと本能的に察知する。

 幸いにも今まで敵意を感じていない。争いを嫌う種なのかもしれない。もし好戦的な種であったなら、

霧に入った時点で、いやそれ以前にいくらでも捕獲なり殺すなりする事ができたはずだ。理由は解らない

が、今の所争う気はないらしい。

 それとも、ここにも罠が仕掛けられ、それにかかるのを粘り強く待っているのだろうか。

 狩を楽しむ種、という可能性も否定できず、エルナ、ユルグは首筋に冷たいものを感じていた。

「うーん、どうしよう」

 ここまで来たものの、何か当てがあった訳ではない。確かにここには何かがあるだろうし、何かが居る

のだろうが、かといってどうすれば良いのか解らない。

 二人は迷った末、とにかくこの湖の中を調べてみる事にした。

「シギル、イング、イス、マン、エオル、ラド  ・・・・  生命を、力と共に、止め、我らを、護り、

続けよ」

 エルナはかつてクワイエルが使った魔術を思い出し、イメージしやすいようにそっくりそのまま行使し

て、半透明の球体を創り出した。

 この中に居れば水中でも問題なく息ができるはずだ。

 二人は無言で頷き合い、水中へと同時に飛び込んだ。



 飛び込んでからロープか何かでお互いを結んでおけば良かったと思ったが、今更思い付いてもしかたが

ない。戻るのもなんだし、ここは運を天に任せてこのまま行く事にした。

 重みはそのままなので、放っておけば勝手に沈んでくれる。何もする必要はなく、楽なものだった。

 湖はあまり深くなかったようで、程無く底に着き、コトリと音がしそうな具合に着地した。

 光も届き、地上より薄暗いが、見えない程ではない。

 二人はゆっくりと周囲を見回してみたが、特に目に付く物は無かった。

 草や石の類もない。綺麗にくり貫かれた海底とそれを埋める水だけがある。時折何かの音が聴こえてく

るような気がしたが、はっきりとは解らない。気のせいかもしれない。

「ラグ、ウルズ  ・・・・・  水流を、呼べ」

 エルナの魔術によって水中に流れが生じ、泡のような球体に身を包む二人を前方へ押し始めた。移動す

るのに一々魔術を唱えないといけないのが面倒だが、簡単な魔術で済むから失敗する危険性は少ない。

 それほど深くもないから、いざとなれば水面に逃げる事は難しくないし、今はこれで満足する事にした。

考えればもっといい魔術を創れるだろうが、あまり時間をかけてもいられない。

 クワイエル魚達が今どういう状況にあるかも解らないし、考えている時間があるなら、調査の方に回し

たかった。

 彼女達もそれなりに心配しているのである。

「何もないようね」

「ええ、でもかえってそれが不気味だ」

 相変わらず変化の乏(とぼ)しい場所だ。視力は上げたままだし、かなり遠くまで見る事ができるはず

だが。それでも見つからない程この湖が広いのか、侵入者が来た事で身を隠したのか、他種族らしき姿は

見えない。

 二人が大した魔力を持っていないのは明らかだが、慎重な種であれば、例えどれだけ弱くても、油断せ

ずきちんと見極めてから動くのかもしれない。

 二人はとにかく前方へ前方へと水流に押されるままに進んで行った。



 小一時間程経つと水中に変化が見られた。水の色が変わったのである。今までは青が強かったのに、緑

が強くなってきている。

 そしてそれに比例するように視界がどんどん悪くなっていく。

 深さも光の加減にも変化はない。水自体が濁っていくような感じだ。

 二人は不安を覚え、少しだけ上昇させた。水面に近ければ近い程、逃げるのが楽になる。どれほどの助

けになるかは解らないが、やっておいて損はない。

「どうしよう」

「進むしかない」

「そうよね」

 どの道他種族と初めて出会った時は、相応の危険を覚悟しなければならない。今更言うまでもなく、そ

の覚悟はしていたが、それでも口にしたのは、決意を新たにする為だろう。

 それに水流を止めていないので、そうこうしている間にも遠慮なく進んでいる。

 その意思に関係なく進まされていくというのも、こういう場合には良い事なのかもしれない。迷おうと

迷わまいと、結局選択するのは同じ答えなのだから、迷っている時間を足踏みしなくて済む分、ありがた

い。こうと決意したならぐだぐだ言わず、ひたすらに進んでみれば良いのだ。

 結局何かをしないと結果は出ないのだから、開き直って進めばいい。

 そうする事で失敗する事もあるが、成功する時もある。ようするに、何をやっても同じ事。どちらにな

る可能性も常にある。だから考えるなとは言わないが、考えているばかりでは無意味である。それは常に

行動を伴うものでなければならない。

 それは彼女達が一番良く知っている筈だった。

 周囲は薄暗く、水も緑が増している。二人は恐怖を覚えたが、期待してもいた。

 変化こそ、他種族と出会う可能性を高める。

 何者かが居るとすればここしかない。会うのは怖いが、楽しみでもある。魔術師特有の巨大な好奇心を

武器に、二人は暗水へと立ち向かう。

 すると視界の果てに何やらうごめくものを捉(とら)えた。

 それは余りにも大きく、魚と呼ぶには余りにも大き過ぎる何かだった。

 まだかなりの距離がある筈なのに、全体を捉える事ができない。視界の悪さを差し引いても、山くらい

の大きさはありそうだ。

 しかも一体ではない。暗くて解り難いが、何体も居る。

 確かに彼らが生きる為には、海くらいの水が必要だと思えた。

 二人は圧倒され、暫くの間言葉を忘れる。

 勿論、その間も遠慮なく二人を包む泡は前へ前へと進んでいく。



 無数の音、振動が絶え間なく行き来するのを感じる。

 右から左、上から下、前から後ろへと。

 いつの間にか巨大生物に四方を囲まれていた。彼らは円陣を組み、遠くから二人を観測しているようで

もあり、獲物として狙っているようでもある。

 視界はいつの間にかよくなっていて、その姿をはっきりと目にする事ができた。環境に慣れた為なのか、

今まで視界が悪かったのは環境のせいではなく、魔術のせいだったのか。よく解らないが、そんな事を考

えている暇は無い。

 二人は巨大生物に意識を集中させた。

 その姿は一角鯨とでも言うような姿で、巨大な身体に長く太い角が生えている。何の為に生えているの

かは知らないが、あんなもので突かれたら船でも一撃で粉々に砕(くだ)かれてしまうだろう。

 いや、角なんて使わなくても、ひれの一撃だけでばらばらにされてしまいそうだ。

 色は白だが、よく見ると一体一体微妙に違うし、身体には模様のようなものがある。

 彼らが囲む中心には一際大きな鯨が居る。その鯨には角がない。しかしとても大きく。他の一角鯨と比

べても、数倍はあるのではないだろうか。

 山さえ丸呑みにしてしまうかもしれない。

 二人は呆然としたまま大鯨へと近付いていく。

 その速度はいつの間にか上がっていた。そう、二人は大鯨の許に引き寄せられているのだ。

 抗う事などできはしない。

 そうして大鯨に激突して木っ端微塵(こっぱみじん)に吹き飛ばされてしまうのだろうかと思った刹那

(せつな)、ぴたりと泡が止まった。

 目の前には大鯨の顔があり、その大きな目で二人をじっと見ている。大きなひげが何本も生え、水中を

ゆったりと揺らし、その度に振動が走っていくのが感じられた。音波の増幅器のような役割なのかもしれ

ない。

 大きな目は恐ろしいように見えたが、よく見ると奥には優しそうな色があり、とても思慮深い。一体ど

れほどの年月を過ごせば、このような目になれるのだろう。

 レムーヴァ創生時からこの大地と同じ時を過ごさなければ、そんな目はできないように思える。そこに

は無限の時間が在り、エルナとユルグなど瞬き程の時間も得ていないような気にさせた。

「ムグウウオオオオオオオオオオオオム!!」

 膨大な振動が大鯨より発せられ、全身が引き千切れそうな衝撃が通り抜ける。

「客人よ、よく来たな。我が名はハールバルズ、そう呼ばれておる。気を楽にされるがよい」

 大きな目がにこやかに微笑んだような気がした。



 ハールバルズ、それは古き言葉で灰色のひげを意味する。確かに彼女を表すに相応しい言葉だ。

 人間で言えば女性にそんな名を付けるのは失礼極まりないが、鯨達にとっては誇らしい。そのひげがあ

るからこそ遠くまで声を届ける事ができ、そして誰よりも遠くまで届ける事ができるからこそ、ハールバ

ルズが彼女達の長である。

 このひげこそが、彼女を賞賛するにもっとも相応しい言葉だった。

 ひげが多く美しい事が、鯨達にとっての美でもあるらしい。

 その気持ちは二人にも何となく解った。

 美の規準はどこか即物的な面があるものだ。それが使えるからこそ称えられる。なんであれ、そういう

面はあるし、それは悪い事ではない。全ては生きる為に必要な力であり、だからこそ皆それを伸ばそう、

伸ばしたいと思う。その為の美意識。

 それは全ての生命に必要なものだった。

「なるほど、迷惑をかけたな」

 ハールバルズは初めから友好的で、クワイエル達の事にしても同情的に受け取ってくれ、これ以上魚達

に迷惑をかけないという事を条件に、彼らの姿を戻してくれるとも言ってくれた。

「南の者達には我々も迷惑しておるのだ」

 彼女の話によると、何でも鎧種や屈強種が度々現れては眷属(けんぞく)であり、僕(しもべ)である

魚達を獲っていったので、仕方なくそういう魔術をかけたらしい。

 彼らはすばしこく、狡賢(ずるかしこ)く、実に巧みにハールバルズの裏を突く。何をしても効果なく、

呪いをかけるようで不本意だったが、そうするしかなかったそうだ。

 ハールバルズは強大な魔力を持っているが、攻撃的な魔術を使うという発想を持っていなく。撃退した

り、攻め滅ぼしたりというような好戦的な考え片をした事もないようだ。

 この水しかない湖でゆったりと泳ぎ暮らせればそれでよく。他種族ともあまり関わりたいとは考えてい

ないらしい。

 だからエルナ達と特別な関係を築こうとは思わないが、ハールバルズ達に迷惑をかけないのなら、通ろ

うと野宿しようと一向に構わないとの事。

 少し残念だが、ハールバルズの僕を勝手に獲って食べたのだから、本来なら殺されても文句は言えない。

それを謝罪しただけで許してくれたのだから、エルナとユルグはほっとした。

 そしてほっとしたついでに、色々と質問をしてみる事にする。

 この辺、彼女達も立派な魔術師であり、クワイエルに完全に毒されている。

 悲しい事だが、これもまた止めようのない呪いであった。




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