そう簡単に行くものか

探索行

　僕とレットにロッコルを加えた三人組は、とにかく堀場を求めて流離人になる事を決意しました。

　堀場を探すと言っても、特別な事をする訳でも無く。ただ未開地を掘って掘って掘りまくるだけなん

だけども。

　前面を体力のあるロッコルに任せ、僕とレットは側面をちまちま掘りつつ土砂を運ぶ事にして、掘り

進む。何しろそれ以外にどうしようも無いのだから。

　僕ら三人は口数も程々に、延々と掘り進めました。落盤を心配しながら、レットの視線を心配しなが

ら、はたまたロッコルが方向音痴で無い事を祈りながら。

　幸い、水脈にもマグマにも出くわさないまま、半日くらい堀。そろそろ限界だと、休憩に入る事にし

て、皆で地面にどっかと座りご飯にした。

「しかしまったく何も出て来ないね、マイハニー」

　レットが苔を齧りながらぼやく。

「これだけ掘ってれば何か出そうだけどな」

　ロッコルも結果が見えない事に、いや自分の利益が見えない事に苛立ちを覚え始めているようだ。こ

いつもしっかりビッコルさんから、その精神をしっかり引き継いでいるらしい。

「んー、でもそうは言っても、元々当てがある訳でも無いし」

　僕も二人に負けず劣らず疲れている。これだけやって報酬は土塊だけと言うのは流石に辛い。

　しばらく話題も無く黙っていると、先ほどから何やら考え込んでいたロッコルが決意したように、ゆ

っくりと言葉を紡ぎ出した。

「いっその事、ずっと奥まで進んでみるか。当てがある訳では無いけど、もしかしたら昔旅立った人達

に会えるかも知れない・・・・」

「それって、あの噂の野菜の君の事かい、ロッコル？でも、あれはあくまで噂だよ。そんなものを信じ

て進むのは美しく無い。ねえ、愛しの君」

「んー」

　僕は一人考え込む。確かにこのまま掘り続けるよりは当てになるのかも知れないけど、やっぱりそん

なものは当て以前の問題のような気もする。

　二人はそんな僕を後目に、熱く野暮ったく議論を戦わせているような雰囲気を出そうと努力している

ようだった。

「レット、確かに噂だが。しかし火の無い所に煙は焚たないと言うじゃないか」

「ＨＯ、ＨＯ、ＨＯ、砂煙だったらどうするんだいロッコル。煙は煙でも、煙違いと言う事があるから

ね。そんなのまったく美しく無いね」

「お前はそう言うが、砂の無い所に砂煙は焚たないとも言うじゃないか」　

「ハッ、それがもし湯気だったらどうするんだい。そうなると、もう煙ですら無いじゃないか。まった

くごちゃごちゃしてて美しく無いよ」

「それはお前が屁理屈言うからだろ！」

「何て美しく無い言葉を使うんだよ、ムッコル！」

「言ったな！ではお前なんかポットって言ってやるぞ！」

「何おう！」

　どうやら議論は指相撲へと飛び火していった様子だ。何だか良く解らないけど、二人の中ではきっち

りしているんだろう。だったらそれはそれで良さそうだ。

「よし、行けるとこまで自然洞を進んでみよう！」

　だから僕も一人でそう決定する事にした。僕の中ではきっちりしているからそれで良いのだ。

　食事を摂った僕らは、指相撲に負けて泣くレットを後目に行ける所まで進んでみる事にしたのだった。

結論付けて言うと、つまりは野菜の魅力に惹かれたのだ。

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