これも戦火の一コマ

粉塵の荒野

　爆発音がだんだんと近付いて来ていた。

　跳ね飛ばされた石片が機体にかつかつと当たって落ちる。空間に舞いゆく散塵で視界も限りなく狭く、

数メートル先すら判別出来ない。

「レーダーが頼りか・・・」

　精霊力を現すレーダーには幾つもの光点が見える。しかし、操機兵である白い機体達は精霊の力を使

用していない為に、このレーダーでは捕捉出来ない。

「うーん・・・それは相手も同じだろうけどなあ」

「うむ、だからおそらく共和国の機体と一機ずつチームを組んでおるだろうの。とすれば、このレーダ

ーでおおよその位置は掴めるのだがの・・・・。乱戦になっているだろう今では中々厄介だの、これは」

　ドランクからの通信が入る。

「とにかく、レーダーで捉えられる共和国汎用機ウンディーネを狙う事にしようかの。後の事は後の事

だぞい。お主は１０分しか闘えないからの、その点注意しておくのだぞい」

「解りました・・・、でも混戦を１０分で乗り切れるでしょうか？」

　ゼロライムはその点が如何にも不安そうだ。何しろ限界時間を過ぎると何が起こるか解らないのが恐

ろしい。あのレイウス教官すら・・・・。

「その機体なら可能かも知れん。だが限界時間が来たらさっさと撤退するといいからの。心配せんでも

初めからお主に頼ろうなどと思っておらんぞい。その機体が居るだけでも威嚇になるからの、敵弾にだ

け気をつけておればいいぞい」

「解りました」

「うむ、気をつけての」

　通信パネルからドランクの姿がぷつりと消える。

「うーん、とは言ったもののなあ」

「無茶しないで下さいとのドランク様のお優しさですよ。変な事考えないで下さいね」

　ドランクに代わるように、小パネルにシルフの姿が現れる。

「そうは言ってもなあ・・・。まあ、蒼い機体もイザリーさんが撃破したから何とかなると思うけど」

「そうですよ、貴方は余計な事はなさらないで下さい」

「相変わらず、きっついなあ・・・」

「貴方がだらしないからです」

「・・・・すいません」

　ゼロライムはどちらがサポートなのか解らなくなりそうだった。　

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