永遠の浪漫ですねえ、今の所は

おお、我が盟友に光あれ

　　ウインウインガガガと奇音を発しつつ、たまに

　「うげーががぎががぎぇげぇぎゃ」

　　と電子的な音声で奇声も上げているしまつ。

　「おいおい狗引・・・こりゃあひょっとしなくてもヤバイのでは・・・」

　「何を言ってるの。完璧な理論の前には完璧な答えと結果しか出ないのよ！！・・・多分」

　　機械人間は欺疑偽と鈍い音を立てて立ち上がる。

　「よしっ、行けッ。行け行け権三郎四世！！・・・ってど～こ～行くの～」

　「頼む狗引ッ！そいつは行かなくていいから、俺を行かせてくれッ！！！」

　「世紀の大発明を目の前にして逃げるわけ？・・・・後始末と責任をあたし一人で背負うものですかッ！！！」

　　後ろのが本音かい。

　　そうだとしたら余計に・・・

　「これ以上巻き込まれてたまるかいッ！！」

　　いつもいつもそうだった。こいつの変な発明のおかげで、善良な一般人であるはずの僕がことごとく

　面倒に巻き込まれ、変人に寄り付かれ・・・・・。

　「いいから居るのよッ！！」

　　ぐいっと引き込まれる。そうだった、こいつはこう見えて馬鹿力なんだった。ああ、神よ。憐れな子

　羊を御救い下さい・・・。

　「ぐがががががが」

　　機械人間が歩み始める。

　「見なさい！成功よ！人類の新しい夜明けよ！・・・ちょっと計算外の出来だけど」

　「後ろの本音が怖いっちゅうねん！！！」

　　どれだけ暴れようともがこうとビクともしない。羽交い絞めにされてるので、ちょっと背中の感触が

　気持ち良いけれど。

　「心配無いわ。天才はあらゆる万物不変の法則をも越えるのよッ！！って・・・アレ？？」

　　機械人間がいきなりぴたっと停止し、口から煙を吐く。

　「コノイップクノタメニイキテルゼ」

　　似非外人風の巻き舌が憎らしい演出だ。

　「・・・・・・・」

　　機械人間はウインウインとロボットダンスを始める。

　「・・・・・・・」

　　暴音と共に機械人間が吹き飛ばされる。

　　厚さ５ｍの鉄板並に改良された壁にぶち当たり、ひしゃげる。

　「ぐが・・ぐが・・・・が・・・・」

　　炸裂したらしい側頭部には数十ｃｍのクレーター。粉々に砕けた破片が粒子となってぱらぱらと舞い

　落ちる。光が乱反射してとても綺麗だった事が眼に焼き付いている。

　「失敗だわ・・・」

　「ああ、今更思わなくてもな・・・・」

　「いつになったらか弱いあたしのボディガードが出来るのかしら」

　「・・・・・・・」

　　そのボディガードを平気で鉄拳で打ち砕く人に、果たしてそんなものが必要なのかと言った諸々の疑

　問を口をぴったり閉じて封じ込める。この封印は伝説の勇者でも破れまい。

　「ん、何してるの？早く掃除なさいな」

　「何で俺が？」

　「男でしょ？」

　「だから何で？」

　「女の子に力仕事させたら駄目でしょ？」

　「・・・・・・」

　「何よ今の間は？」

　「いえ、何でもございません」

　　そしていつも通りに片付け始める僕が居る。ああ、母さん・・・貴方の息子は立派にやってます。

　「ふう・・・・」

　「溜息なんて貴方には似合わないわよ♪」

　「さいですか」

　　それから小一時間ばかり必死で片付けた。掃除とかする場合にのみ、相変わらず不運は起きない。つ

　まりは僕はこういう運命って訳ですね、神様・・・・。

　「狗引・・・・」

　「どうしたの？」

　「僕は天啓を得たよ・・・・」

　　狗引はつまらなそうにこっちを見た後、鼻歌交じりにバナナを食べる。こいつの好物と言うか主食な

　のだ。

　「バナナの残りそれだけか？」

　「ええ、今回は一週間ほど泊り込みで頑張ったから」

　「お前・・・」

　「ん、やだ。ちゃんと下着は変えてるわよ。もう、男の子なんだからん♪。疑うなら見る？ウフッ♪」

　「いや、いい」

　「あッ、何だかそれって酷く傷ついたわ」

　　偉大なる大変人はやけ食いを始めたらしい。

　　一日にバナナを５０本も食べる奴の気が知れない。

　　そしてバナナの皮を拾い終わる頃にはとっぷりと日も暮れていた。

　「ああ、今日も平和な一日が過ぎていくのね」

　「そうだな」

　「細かい事を気にする男はモテないわよ」

　「なら、モテなくていい」

　「やれやれ」

　　こっちがやれやれだ、コンチキショウ！！

　「終わったなら、帰っていいわよ」

　「ん、お前はまた泊まり？」

　「ええ、後片付け待ってるの疲れちゃって」

　　こ・・・こいつめ。

　　ぶるぶる震えるこめかみと拳を開放したい欲求に必死に耐え抜く。僕って偉い・・・・偉いよね？偉

　いって誰か言ってええええええええッ・・・・・・。

　「じゃあ、帰る。またな～」

　「うん、褌総クンありがとう」

　　そう言って見せる素直な笑顔。いっつも最後にこれをくれるんだよな。まったく、男は安いよのう。

　　手を振って禁断の果実より退出する。

　　アダムも僕ほど苦労はしていまい・・・。そう思いたくもなる我が人生に・・・・乾杯・・・。

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