光陰矢の如し

神よ、貴方は何故に与えたもうた・・・・

　　親父の再婚。

　　ショッキング満載な事実。これがショッピング満載となっていたら、どんなに良かった事か・・・。

　しかも相手は・・・・。

　「ひ、柊先生！！？」

　　まさか・・・・、まさか本当に結婚まで漕ぎ着けるとは・・・・。確かに我が父は嘘が嫌いで出来な

　い事は出来ないときっぱり言う派なのです。それで団体行動は向かないと個人商売を始めて、今に到る

　訳なのですが。

　「・・・・・・」

　　恥ずかしそうに父の隣で微笑む柊先生を見ていると、まあそれもいっかと思ってくるのですけども。

　確かに恋愛は自由ですし。しかし神もとんでも無いものを与えたものです・・・・。愛って何処かおか

　しいよ、絶対。

　「しかし・・・・・いきなり同居に持ち込むかい、父よ・・・・・」

　　それを知らされた次の日曜日には、当然の如く我が家に柊先生が越してこられた訳です。決断も早け

　れば過程も実行も早い早い。金メダリストも真っ青な軽快な走りを見せてくれた訳です。

　「普通は僕の卒業を待ってとか・・・・考え無い・・・？」

　　試しに聞いてみると。

　「ん、全然」

　「全無」

　　と真顔で返されました・・・・。

　「そうそう、式は今月末。ちょうど夏休み第一日目だな」

　　そしてにっこりと爆弾発言を続ける父。

　「って・・・・。まあ、いいや幸せなら・・・・幸せならそれで・・・」

　　そうして、何にしても卒業後は一人暮しと言う事に決定してしまったのでした。

　　この二人、そんなにべたべたはしてないけれど。居るだけで、その何ていうかね。ほら、ああいう世

　界って言うの、そういうのあるでしょう。そんな見てる方が何だか照れる具合な訳でありますよ。

　「でも、父さんもやる事早いなあ・・・・」

　「ん、どうせやるなら早い方がいいのだ。お前もさっさと結婚しなさい。そしてどうせ卒業するのなら

　今すぐしなさい」

　　相変わらずな無茶苦茶父。でも、結婚するのも一つの選択肢は選択肢な気もするけども・・。

　　まあ、そんなこんなで僕に第二の母が出来ましたとさ。ちゃんちゃん。
　

　　そして次の日。

　　当然のように野次馬が群がり・・・・・。と言う事も何故か無く。いつものように、僕から見れば平

　凡な時が過ぎ去ったのでした・・・。

　「ねえ・・・・」

　「ん？」

　　いつも視線を投げかけて来るめぐタンに思い切って聞いてみた。

　「何で誰も驚かないのかな」

　「ん、だってこのくらいで驚いてたら身が持たないでしょ」

　　なるほど、こんなものは日常の一コマでしか無いのね・・・・。変態慣れするどころか、非日常が日

　常になっている事すら平然と受け止めている彼女らと、そして何より自分自身に恐怖すら覚えた一日で

　した・・・。

　　しかして、その日まではいつも通りの日が続くのでしょう。

　　ただ家に柊先生が住んでいると言う事を除いて・・・。

　　ま、それも何気なく慣れそうな・・・。

　「ふう・・・・」

　　窓の外には大きな入道雲でした。
　

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