繰り返しの美学

心、開け放ってみれば

　「うーん、何だかなあ。でも、やってみると意外に上手くいったりするもの何だなあ」

　　柊先生が来てくれてから、僕の家事分担も自然に減って結構良い感じに過ごしている。ただ洗濯だけ

　はちと恥ずかしいけども。なので洗濯は父と柊先生の分担となったのです。

　　そして相変わらず僕は柊先生を柊先生と呼ぶ事になりました。

　　父曰く。

　「瑞希は父さんの妻なのだから、褌総の母になるのかと言うとそれはまた別の問題なのだ。だから父さ

　んは瑞希を独り占めする事にした。だからお前はいつも通り柊先生と呼びなさい」

　　正当何だか我侭何だか知らないけれど、自然にそう言う事になりました。

　　そして柊先生の呼び方も、生徒全員が起こしたストライキによって変わる事無く、職場では柊先生の

　ままになる事になりました。

　　生徒曰く。

　「名前が変わると面倒くさい！・・・・じゃなくってえ・・・、何ていうかー、柊先生のままの方が親

　しみやすい感じ～？」

　　誰に聞いてるんだ、てやんでい！！と言う突っ込みの多々ある中、そう言う事に落ち着いたのでした。

　ようするに我侭放題し放題と言う訳ですな、これが。

　　平校長も。

　「よろしい」

　　の一言で特に問題が出る事も無かったのであります。変人という事は、ある意味、器も大きいと言う

　可能性も否定出来ない。そんな新たな議題を学会へ提出するきっかけにもなりそうな事件でした。

　　そして何より、僕の不幸率ががくんと落ちたのですね。登校、帰宅も割とスムーズに行けるようにな

　ってます。でも、油断は出来ないですがね。嵐の前の静けさってやつかもかも。

　　等とぼんやり地蔵をこなしておりますと。

　「わッ！！」

　「ぎぃやあああああああああああああッ！！！」

　「きゃああああああああああッ！！？」

　「えッ！？」

　　突然驚かされ、そして僕の驚き絶叫で逆に驚かしてしまうと言う事態に陥ってしまいました。

　「あ、高見さん」

　「もう、吃驚するじゃない」

　「って、それはこっちの台詞・・・・」

　「あ、そっかあ。ごめんね」

　　てへへと笑う高見さん。これこそ免罪符ですな。笑顔が可愛い以上の可愛さはきっと無いのでせう。

　「で、何？」

　「ん、何でも無いけど。何だか暗い感じだったから、明るくしようと思って」

　「はは、そっかあ。ありがとね。でも別に僕も暗くなっているんじゃ無いんだけどね」

　「じゃあ、悩みかな？」

　「うーん、悩みと言うよりは悟りへの階段ですな」

　「あははは。何言ってるんだかッ。あ、ごめんね。そろそろ行かなくちゃ」

　「あ、うん。ありがとね～」

　「またね～」

　　高見さんは春風のように爽やかさと清々しさを振りまいて行かれました。

　　いやはや、いい子ですなあ・・・・。

　「うへへへへへへ、はうッ！？」

　　そのまま危険な笑いへと移行されようとしていたその時、また視線を感じてしまいました。

　「じーーーーーーーッ」

　　この擬音は紛れも無く・・・。

　　振り返ると、そこには・・・・・・。　

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