感じるとは自分を知ると言う事

趣とは自己宇宙の産物なのか

　　何の気なしに日は昇る。昇って暮れて、また暮れる。

　「うーん、暮れて暮れたら朝になるのかな。何せ地球は丸いから」

　「ほほう、今日はみつふさンが美味しい話かね」

　「違う違う、ちょっとした疑問だよ。どうでもいいようで気になる事って多いだろ、何気に」

　「そうだな。何気に多いな。おすぎとピーコの見分け方とその考察とか」

　「それは微妙だなあ」

　　男二人　悩む朝焼け　あらおかし。

　　俳句風に言ってみても、むさ苦しさが消える訳も無く。ただこのぽかぽか陽気で顔が緩んでいるのは

　確かだと思う。今ならほっぺたぷたぷが出来るかも知れない。

　「うーん、それよりもココ椰子ってココナッツと椰子の実のどちらにより相応しいと思う？」

　「うーむ、それは由々しき一大事。早速研究と実験に入らねば」

　「何言ってるんだよ。二人とも相変わらずだな・・・」

　「おっ、真弓。前触れも無く」

　「おお、まゆみン。やはりココナッツの方が美味そう派かね」

　　そして苦笑するうら若き乙女一人。華やかな展開、よっしこれからだと言う時に無常にもチャイムが

　鳴る。僕と赤司で仕組まれた罠だと嘆く。そして真弓はいつも通り呆れて帰って行く。

　　いつもはそれでめでたしめでたいなのだが、たまには変化を与えたい僕はいきなり真弓にスライディ

　ングしてみる。

　　足を捉えられバランスを崩した真弓はぐらりとすっ転ぶ。スカートを手で抑える事を忘れない所が素

　晴らしいと、感心している所に真弓の鉄蹴。

　　結論、余計な事はするもんじゃあ無い。

　　それでも最後は笑って許してくれる真弓に乾杯！！

　「何やってるんだ、みつふさン。その一連の動作は中々に趣き深い出来だったが、まだまだ甘いな。真

　のスカートめくり道とはそのような生易しいものでは無いのだよ」

　　変化は止めて、いつも通り赤司を放って教室へ戻る。

　　そして来るのが一番速い諸草（モログサ）先生（４２歳独身彼女無し）に怒られる。諸草先生（４２

　歳独身小太り）は結構厳しい先生なので後で職員室へ来なさいと赤司に申し渡す。毎日毎日こんな事を

　している諸草先生（４２歳独身趣味は折り紙）もかなり真面目な人だとつくづく思う。

　　そして毎日同じ注意を受けている赤司も、つくづく成長とか反省とかとは無縁の存在だと再認識され

　る。そう思うと諸草先生（４２歳独身年上好み）が少し可哀想にもなる。

　　頑張れ諸草先生（４２歳独身毛が薄い）。
　

　　それから赤司はいつも通り特に気にした所も無く。いつも通り入って来て、いつも通り机の上で倒立

　をする。こいつは中々平衡感覚が良いんだ。

　「机否！！」

　　そしてこれまたいつもの如く、柊先生に怒鳴られる。赤司は大人しく椅子の上に倒立する。美人の言

　う事は絶対だと言う信念の持ち主だからなあ・・・。

　　柊先生は素早く黒板に

　「机の上に乗っちゃ駄目よ。めっ」

　　と可愛い字で書きなさる。しかも達筆で非常に見栄えがよろしい。何でも書道の段位をお持ちとか。

　流石は国語教師。

　　しかし先生に怒鳴られても喜ぶ赤司は、つくづくネジが一本擦り切れて焼き切れていると思う。

　　いつかピアスでも付けさせて、それを赤司ネジと呼ぼう。そうすれば５％くらいはまともになるかも

　知れない。どこぞのアフリカの部族がしている耳たぶの十倍はありそうなピアスでもすれば、３０％く

　らいは可能かも知れない。

　　そんなこんなでいつも僕は先生の話を聞いていない。

　　小中学校の通信簿には必ずと言っていいほど、人の話はきちんと聞きましょうと書かれたものだった。

　それを見た父は、流石父さんと母さんの子だと笑っていた。子供心に何か違うとその度に思ったものだ

　った、以下略。

　　そんなこんなでＨＲの終わりに

　「明日三者面談だからよろしくね。先生も今から緊張してるわ、ウフ」

　　と書かれて退室して行かれた。

　「ううむ、いよいよ柊先生と密室体験が出来る訳だ。これは大変喜ばしい事だぞ」

　　はしゃぐ赤司。

　　そう言えば、大人にはン付けないなあ。

　「でも親も居るんだぞ」

　「来させない」

　「へ？」

　「来させない。それが男の浪漫！！」

　「それは無理だろ・・・」

　　何せ赤司の親だからなあ・・・・いや、こいつの親なら本当に来ないかも・・・。

　「前言撤回。在り得る」

　「ふふふ、やっぱり解ってるじゃあないか、みつふさン」

　「付き合い長いからな」

　「どちらにしても、おかげで明日の授業は昼までだ。これは喜ばしい限り」

　「それは同感」

　「では愛しい我が家へとリターンホーム」

　「まだこれからみっちり授業があるって」

　　赤司を引き摺り戻しながら、何だか明日が不安になった。

　　まあ、僕の場合はいつも不安だけども。ほら、シャーペンの芯が飛んで来た。尽く僕の頬めがけて飛

　んでくるのは最早超常現象だと思う。

　　扉を開けるといつも丁度誰かが飛び出してくるとこ何か憎い演出だよ。あははは、あはははははは・

　・・・・はあ・・・。
　

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