だから心からの言葉を現すのです

自然に出来た事だから

　　鐘が鳴り響く。盛大に遥か先まで届くように。未来まで響き照らすように。

　「柊先生、おめでとー！」

　「お幸せにーー！」

　「褌総の事は無視しといていいからーーー！！」

　「上手くやりやがってこのエロエロ親父！！」

　　等々、さり気なく祝福とは思えない言葉も混じりますが。まあ、それはそれ、それっぽいと言う事で。

　僕から見ても、父さんよく結婚出来たなあって感じですし。

　　柊先生は真っ白なウェディングドレスがとても良く似合っていて、正にこの日柊先生に着られる為に

　デザインされたようなドレスでした。

　「先生、こっちこっちーーー！！」

　「私に下さいーーーー！！」

　「何言ってるのよ、私にこそ相応しいのよ！！」

　「私なんか人の結婚式に出るの１０回目何だから、もうそろそろくれたっていいじゃない！！」

　　何か良く知らない方も混じっておられるようですが。ともかく、クライマックスの一大イベントでも

　あるブーケ投げのお時間です。ドラマや映画ではもう最後のシーンって感じですね。

　　女の子達は両手を天に掲げながら、今か今かと待ち構えております。そこには高見さん、狗引、そし

　て勿論、真弓の姿も。

　　何しろこれだけの人数ですから、もうもみくちゃな感じであります。

　「赤司・・・・・、何でお前まで貰いに行ってるんだよ・・」

　「何を言うかみつふさン。これをいただく事こそ結婚式に行く醍醐味では無いかね。しかも幸せが訪れ

　ると言う、何とも言えないお得付きなのだぞ」

　「いやいや、それは受け取った人が次に結婚するって言う話だから。それに男にはあまり関係無いとか

　そんな感じがひしひしと伝わってくるぞ」

　「そんな事を言わずに、みつふさンもさっさと来るのだよ」

　「うわッ、ちょっと」

　　赤司に引っ張られ、女の子の群れに引き摺り込まれる僕。関係無い事とぼんやり眺めていたもんだか

　ら、抵抗も出来ませんでした。

　「祝投」

　　そして柊先生の手からブーケが宙に放たれます。

　　ゆっくりとゆっくりと静かに落ちて行くブーケ。そしてパサッと言う音と共に。

　「へッ！？」

　　在ろう事かお約束か、僕の胸にすっぽりと収まってしまいまいた。　　

　　皆も何が起きたのかとぼへっと胸のブーケを眺めております。

　「えーーーと・・・・」

　　僕もどうしたものかと、ぼんやりしている時にばっちりと目が合ってしまいました。

　「おお、ブラボーみつふさン」

　　その物体からは勿論すぐに目を逸らしまして。気を取り直してもう一度。

　「ほら」

　「えッ！？」

　「受け取れって」

　「わ、私に！？あ、うん、ありがとう」

　「こんな返事の仕方もあって良いだろ？」

　「ふふ、ちょっとキザだけどな」

　「うるさい、ありがたいと思え」

　「うん、ありがとう。ありがとう、木城」

　　受け取った真弓の顔は今までで一番嬉しそうな顔で、何より一番可愛く見えました。

　　そして再度起こった歓声と拍手が教会全体を包み込みました。

　　父達も、僕達も、幸せに笑っていたと思います。いつまでもいつまでも。

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