晴れ渡る蒼

天高く空は晴れ

　　大安吉日、しかも父さんの呪い・・・、いえいえおまじないが利いたのか、からっと晴れた。そんな

　絵に描いたような意気高揚とさせる日。それはそんな日でした。

　　夏休みと言う事もあり、生徒先生達はよほどの用が無い限りは全員参加しているみたいだ。父さんが

　親族一同と言う方々を面倒だからと言う理由で９割方呼ばなかった為か、そこに学校が引っ越してきた

　ような感じだった。

　　ただ、皆いつもの制服でなくスーツやドレス、一張羅の服と言った感じで来ていた。当然似合わない

　人も居る訳で、そんな奴を見て笑う声もとても明るい声で全てが祝ってくれている。そんな風に僕も感

　じる事が出来ました。

　　そう、今日は我が父と柊先生の結婚式なのです。

　　ちなみに僕はずっと柊先生と呼ぶ事になるそうです、本気で。

　「いやあ、よくもまあこんなに集まったものだ。これはあれだな、正にあれだあれ」

　「お祭り騒ぎ？」

　「そう、それだ。父さんと瑞希の為にこんなに集まってくれると、流石は俺だと今更ながら自分の人気

　を思い知らされずにはいられない。なあ、褌総」

　「父さん、それは言い過ぎ。主に柊先生効果だよ」

　「はっはっは、またまた照れちゃって」

　　大げさに僕の背中を叩く父。この父のように自分の感覚でのみ生きる人間に、普通と言う何かを求め

　るのは明らかに危険なのであります。皆様も重々お気をつけますよう。

　「しかし、壮観な眺めだなあ・・・」

　　本当にここまで人間が集まると騒々しいを通り越して、もう何ていうか素晴らしいよ。

　　でもそんな中でも、赤司、溝口、狗引の三人は何処に居ても居る所が解ると言うのが恐ろしい。目立

　つと言うよりはあやつらは自分の場所にテリトリーを築ける存在なのだ、特に赤司。流石は変人三巨頭、

　その名は伊達では無い。伊達であって欲しかったけど・・・。

　「流石は我が息子の友達だ・・・。うんうん、父さんの友達にも負けていないぞ」

　「父さん・・・頼むから友達はなるべく連れてこないで・・・・」

　　これ以上変人が増えてはもうどうしようも無い。もしかすると変人王たる赤司を超える人材すら居る

　のではないか、そんな事を考えるだけで頭が重くなってくる。しかも、僕以外誰一人として欠片も悩ん

　でいる人間が見付からないと言うのが、中々に精神的ダメージを与えてくれる。

　　そしてその度に

　「いっそ父さん似だったら楽だったのに・・・・」

　　とそんな現実逃避な事を思い浮べるのであります。

　「はっはっは、何を言っているんだ。お前は父さんそのものと言っても良いぞ。まあ、ほらそのそこま

　で言うと、ほらあれだあれ、あれになるけどな」

　「言い過ぎ・・・だろ？」

　「おう、それだそれ」

　　結婚式も２度目なら慣れるものなのかねえ・・・・。この父には緊張感の欠片もありません。まあ、

　そんな父など一度として見た事はありませんが。

　　そして緊張する父を見ると言う野望は脆くも崩れ去った訳です。叶わないと知りつつも希望を持って

　しまうのですね、人間は。このへん、パンドラの箱の逸話に通じる部分がございます。

　「って、そろそろ始まるんじゃないの。父さんも急がないと」

　「おおう、そうだな。ならば行こうか」

　「皆もさっさと中へ入れないと！」

　「ん、何を言ってるんだ。我が息子ながらぼんやりだぞ」

　　そう言って外を指差す父、それに付いて目を向けていくと。

　「なッ・・・・・！？？」

　　先程とは一転して外はガラーーーンとしていました。

　「い、いつの間に・・・・」

　「まったく、さっさと行かないと皆に迷惑がかかるぞ」

　「ううう・・・・」

　　逆に怒られ、何も言い返せない正当性にも、何故か物凄い反発心が起きた今日この頃でした。

　　自分の事ながら、胃潰瘍にならないのが不思議であります。

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