20-3.朝三暮四


 越との間に若干の緊張が漂(ただよ)う事になったが、表面上今までと変わりない関係を続けている。

 民も越との付き合いがどういうものかを理解している。同盟というよりは商談というべき繋がりでしかない

事を。それは褒めるような事ではないものの、こういう場合に心を冷やす役には立つ。実際誰の胸にも越が裏

切った、という思いは無い。

 朱榛がそこに匿われていたという事実がはっきりと越の関与を肯定していたが、それで楓越の関係が破綻す

るような事はなかった。

 だからそれはそれでいい。問題なのは、国内の反政府勢力の存在感が増し、はっきりと脅威という形を持っ

て現れた事である。

 一般の兵や民は朱榛が楓国内に潜伏しているなど、想像もしていなかっただろう。

 故にそこからくる衝撃は一方(ひとかた)ではなく、皆心に傷を負うような気持ちで、釈然としないまま受

け止めている。

 朱榛が国内に居た事を秘密にできていれば良かったのだが、あれだけ大きな動きを見せておいて、それを都

合よく隠すのは無理な話。最後まで後手後手に回されていたから、対処する時間的余裕がなかったという事も

ある。

 つまりこれは楓領土への絶対的な安心感が揺らいだという事だ。民は互いに警戒を強め、客を呼ぶ事も外出

する事も減り、火の消える、とまでは言わないものの、明らかに活気を失った。

 人が生きるにはいつまでも家でじっとしている訳にはいかないから、少しずつ外出は増えているようだが、

人々の顔にはいつも影が差している。

 何とかしたい所だが、効果的な対策を打てずにいる。ここで引き締めを強化しても

民を恐がらせるだけだろうし、南方が南蛮貿易で成り立っている以上、人の出入りを制限するにも限界がある。

 今更付け焼刃に何をした所で効果は少ない。逆効果になる事もありうる。ここは現状のまま時間を松方が良

いのかもしれない。

 しかし何もしない訳にはいかないので、代わりに自警団への援助を増やし、武具の質を上げ、相談役兼教官

として正規兵を数人ずつ常駐させる事にした。

 兵を増やせば物々しいが、その町の住人が入る自警団ならば、多少強化されてもそれほど気にはならないだ

ろう。

 気休め程度の効果だとしても、楓流が気にかけているという証にはなる。

 こうして一時的な措置を打った上で対策を考えるのだが、できる事はやはり限られている。人の思考の幅と

いうものは存外狭く、選択肢というものは大体いつも決まっていて、その数も少ない。その幅を超えられる者

が天才と呼ばれるのかもしれないが、後世万能の天才と称される楓流とて、本当にそうであった訳ではない。

 彼もただの人間である。

 全ての反政府組織を摘発でもできればすっきりするのかもしれないが、そんな事は不可能だ。

 それに追い詰めれば自暴自棄になり、最悪の手段を採らせる事になるかもしれない。

 危機感は常に持たせておくべきだが、追い詰めてはならない。飼い殺すようにして管理する。

 それができていなかったからこそ、大きな失態を晒す破目になった。

 教訓とし、活かす為、諜報機関による監視の目を強めているが、民にそれを知らせる訳にはいかない。それ

にそのような民の目にはっきりと映らないようなものでは、例え知らせても効果が薄いだろう。

 ここはもっと別の手を打つ必要がある。

 それには不安の元凶である越を使うのが最も効果的だ。

 確かに難しい。下手すれば逆に自ら止めを刺す事にもなりかねない。しかしこのまま放って置いても不安は

消えないし、いずれは向き合わなければならない問題なら、早い方がいいに決まっている。

 とはいえ、いきなり越に向かうのは不可能だ。事は慎重を要する。まずは仕掛けやすい蜀から利用しよう。

 蜀と言えば朱榛の名が真っ先に浮かぶ。

 彼に関する問題は、その死によって一応解決した事になっているのだが。誰もそれで済むとは考えていない。

むしろ楓流が蜀をそのままにしておいた態度の方にこそ疑問が浮かぶ。

 それを貸しとするつもりだったと考えても、あまりにもあっさりし過ぎている。蜀は初めから最後まで協力

的でなかった。今もそうだ。蜀に残された物だけが手がかりであるのに、それを秘密にし、独占している。例

え蜀にとって都合の悪い事実が含まれていたとしても、全く情報を出さないというのはどういう事か。

 これは楓への背信行為と言ってもいい。

 同盟関係は基本的に友情とは無縁だとしても、あまりにも非情、非礼である。

 ここで、楓流が国内に目を向けられたのは蜀王が忠言してくれたおかげではないか、と考える人も居るよう

だが。そう受け取るには、与えられた情報があまりにも少ない。

 朱榛捜索にも非協力的であったし、今回の蜀王の態度には国内にさえ疑問を抱いている者が多いと聞く。

 蜀王の権威ははっきりと揺らいでいる。

 ならばこの状況を利用して蜀への影響力を強くし、この蜀という国そのものを交渉材料にして越に挑む。こ

れは一石二鳥の策と言えまいか。

 何度も述べているが、蜀は交易路として重要な国だ。南方から集縁、そしてその先にある窪丸、越へ行くに

は、陸路にしろ水路にしろ蜀を通るしかない。他に衛を回る道もあるにはあるが、時間がかかり過ぎ、現実的

ではない。

 輸送時間が一日延びるだけで大きく出費が増す。自然、南蛮貿易には蜀を通らざるを得なくなり、越蜀の関

係が深まり、朱榛とも繋がりができた、と推測した事は前に触れた。

 しかし越にとってそれは歓迎するべき事ではない。

 知っての通り蜀は暦とした独立国である。楓に従属していても、いやしているからこそその権利が保証され

ている。だから越も様々な点で考慮せざるを得ず、言ってみれば楓と蜀とで二度手間、二度出費となっている。

 何とかしたい所だが、楓が民主的な政策を採っている以上、どうにもできない。

 楓蜀の間に結ばれている条約は人が思う程強制力の強いものではないのだ。

 確かに現蜀王即位の折、後ろ盾となったのは他ならぬ楓流である。しかし当時は今程の力の差はなく、蜀礼

にも遠慮せざるを得なかったから、あまり強く言えなかった。

 だからもし楓蜀の関係を現状に相応しいものに変える事ができれば、蜀に払っている金額の何割かは減らせ

る。上手くやればもっと良い条件にできるだろう。

 越にとっても楓流が最も信頼できる(利益のある)商談相手だ。

 蜀からも少なくない利益が上がっている事を差し引いても、弊害の方が多く感じられる。

 まったく、独立性を強めようなどと要らぬ野心を抱いたものだ。このまま増長すれば、当然大きな収入源で

ある南蛮貿易にも口を出してくるだろうし。最悪、蜀と楓との間に戦争でも起きようものなら、その間交易路

が塞がれてしまう。

 このような厄介な国など残しておくだけ無益、いや有害である。

 確かに戦になれば物は売れる。実際に争わなくとも、戦が起こるという恐怖心が芽生えれば様々な物の売れ

行きは伸びる。だがそれも安定して輸送できれば、の話だ。それに戦争中は全ての活動が滞る。儲かるのも支

払う金が無くなる一時の間だけだ。

 平和であればこそ人は富み栄え、それによって商人は更に富み栄える。戦争経済など愚かなやり方と言わな

ければならない。人は無限に搾取できるようには創られていない。尽きれば終わりなのだ。

 それに越は秦ではなく、楓を応援している。

 楓流への信頼もそうであるし、何よりその技術力の恩恵が大きい。道、水路、その他商売と生活、移動に役

立つ様々な道具と術。これらが楓という国を魅力的にさせる。

 秦の出る幕などどこにも無い。

 いや、秦だけではない。楓以外の国は技術というものの価値を理解できていない。戦争の道具としての道の

有用性くらいがせいぜいで、楓流のように商いの事にまで考えがいっている者は居ないだろう。

 楓と秦の姿勢を見れば、どちらに味方するべきかはっきりしている。少なくとも今は楓に付く以外の選択肢

を考えられない。

 楓流でさえ最後まで真意を掴めないでいた越も、実際にはこのように単純に考えていたようだ。

 彼らは楓と秦どちらが生き残るとしても、越と越商が必要である事を知っていた。

 南蛮貿易と越は切り離せない関係にある。そして南蛮貿易から得られる利益を知った者が、それを放棄する

事は考えられない。

 ある意味、早い段階から(おそらく楓流と共に大陸全土に水路を伸ばそうとした時から)越は商業によって

大陸を統一していた。それに気付く者は現代でさえ少ないが、双と共に最後まで生き残った事には、やはり相

応の理由がある。

 双程には続かなかったとはいえ、最後まで楓勢力の有力者として残る事を考えても、彼らがどれだけの事を

していたのかが察せられる。

 彼らは商いと金で大陸を支配していた。そしてその二つは碧嶺(ヘキレイ)以後の大陸史から切り離せない

存在となった。今までその地位を独占していた農からその座を商が奪ったのはこの時だろう。

 結局そうさせたのも楓流だったとしても、越の功績が曇る事はない。

 何故越のような小国が、双のような絶対的理由なく生き延びられたのか。それは彼らの力もまた絶対的に必

要なものになっていたからである。

 そして越にとってもまた楓という国は、いや楓流という技術好きな他よりは善良な王は、欠くべからざるも

のとなっていたのだ。

 そう考えれば、越と楓が離れる事など初めからありえない話である。

 とはいえ、そのように考え、断言できるのは我々が後世の人間だからだ。その当時に生きる人間にとっては、

このように簡単なものではない。

 それを愚かと言うのなら、自分に対してもそれを用いるべきだろう。



 楓流は急ぎ越へと使者を遣わす。その役目は元商人である明開(ミョウカイ)に任された。越と明開も切り

離せぬ間柄。元々その為に引き抜いたようなものだが、外交全般において重宝している。安い買い物であった

と言えよう。

 今回も充分に役目を果たした。

 越も蜀に常に心を配っている。それが緩和される事になるのなら協力は惜しまない、という返答である。

 明開がつるりと頭を撫でながら、あのどこか子供っぽくもある笑顔を浮かべた所を見ると、よほど脈があっ

たと見るべきか。それとも今更世辞(せじ)でも覚えたのか。

 楓流も柔和な笑みを返し、その労を労(ねぎら)っておいた。勿論、払ったのは笑顔だけではない。

 それはそれで良いのだが、疑問に思えたのは、彼が娘である桐洵(ドウジュン)の事を話題にしない事であ

る。親なら例えその仲に問題があったとしても、気になるものではないかと思うのだが。この親子は互いの事

を一切口にしない。徹底している。

 そこにかえって血の絆を感じるが、無用に踏み入るべきではない。必要な事を聞くとすぐに返してやった。

明開も公私共に忙しいようだから、必要以上に時間を使わせないようにさせている。それは登用時からの暗黙

の了解のようなものだ。

 彼らの関係は主従というより、商談に似ている。越との関係に近い。

 楓流はそれから白陸を呼び寄せた。彼は普段、妻と共に中諸国を回っている。親善であったり、恫喝(どう

かつ)であったりと仕事内容は様々で、使者というよりは視察団のようなものだ。権限も重く、場合によって

は開戦の判断すら許すされる。

 白夫妻は物腰柔らかく、決して威圧的な素振りを見せないものの、意図する所は明らかで、その態度がまた

恐れを誘う。

 この白陸を呼んだのは、蜀を任せる為だ。

 そこには開戦も辞さない意思を暗に知らせるという理由もあるが、白夫妻の手腕に期待する面の方が大きい。

 孤立しつつある今の蜀を攻め滅ぼすのは難しくないが。余計な消耗は避けたい。強引な事をすれば秦に格好

の理由を与える事にもなる。法瑞(ホウズイ)が起こした波紋も完全に消えた訳ではないし。なるべく穏便に

済ませたい、というのが本音だろう。

 大陸中に広がる一触即発の空気はむしろ色濃くなっている。明日戦争が起こってもおかしくない、と思わせ

るには充分だ。

 故にどの国も無理矢理理由を作っては軍備増強に勤しみ。外交もますます活発になっている。

 楓が越に使者を送った事もすでに知られているだろう。対策も練られ、実行されていると考えるべきだ。

 となれば、秦は孤立無援になるだろう蜀王に肩入れするか。それとも楓同様、次の王となるだろう人物に力

を貸すのか。

 冷静に考えれば、後者の可能性が高いと思える。何故なら、今の蜀王に加担したとて、民の同意を得られな

いからだ。それを得る為には王の態度を変えさせ、様々に支援しなければならないが。今の王にそこまです

るだけのの価値があるとは思えない。

 わざわざ手間をかけて困難な事をするよりも、次の王と繋がりを持つ方が簡単で効果的だ。次蜀王が誰にな

ろうと現蜀王よりはるかに御しやすいだろう。第二の朱榛に仕立て上げる事も困難ではない。

 勿論、朱榛以上に移り気で役立たずになるだろうが。それならそれで楓の荷物になる。

 秦にとってはそれで充分という訳だ。

 考えた末、白夫妻には二つの役割を課す事にした。どちらをどれだけ優先させるかは二人の裁量に任せる。

 さすがにここまで重い役目を与えられると身震いする思いであるのか、どちらの顔も緊張の色が濃かったが、

彼らならやってくれるはずだ。

 その為に今まで様々な経験を積ませてきた。この程度の事ができなければ目をかける意味が無い。

 果たして蜀はどちらに転ぶのだろう。不謹慎だが、少々楽しみでもある。

 ここの所後手に回り、常に受身であった。考えずとも目的を与えられるのは楽かもしれないが、いい気持ち

はしない。

 楓流は王なのだ。誰かに動かされるのではなく、自ら導いていかなければならない。それが最低限の責任と

いうものではないか。少なくとも民はそれを望み、付いてきたのだから。



 蜀王は狼狽の色を隠せない。

 ここ数日の間で明らかに家臣の態度が変わった。今までのように虚勢ではない。背後に何者かを感じさせる。

 王自身、孤立に向かっている事を自覚している。不満を持つ家臣には事欠かない。その誰かを次の王か或い

はそれに近いものに仕立て上げる事は、難しくないだろう。

 だが彼にも言い分がある。強引な事をやってきたのも国家安泰を思えばこそ。楓流は確かに信用に足る人物

であったが、国がここまで大きくなれば王一人の意で動かす事は不可能だ。どうしても目の届かない所ができ、

王とは別の意思が働くようになる。

 法瑞の暴走はその悪しき例だ。もしその矛先が布ではなく蜀であったらと思うとぞっとする。

 そしてその時、楓流はどこまで親身になってくれただろう。

 明らかに楓という国は変わり始めている。以前のような期待を持てない。いざとなれば楓が助けてくれる、

何とかしてくれる、と思うのは楽観を超えて愚かである。

 楓は大きくなり過ぎた。その力に逆らえなくなった国との関係がいつまでも友好的である訳がない。今はま

だ形だけ残っているが、楓が大陸制覇した後も今のままいられると思うほど蜀王は愚かではない。

 だからこそ蜀礼が奮起すべしと夢枕に立ったのではないか。それとも己がそう望むからこそ見た幻なのか。

 どちらにしろ、蜀という国そのものが危ないのは確かだ。楓と同盟を結んだ頃とは状況が違う。蜀には今も

楓の力が必要不可欠だが、楓にとっての蜀はそうでない。試しに挑発するような行動を採って見ればこの始末。

楓流の心が透けて見えるようではないか。

 蜀王はもう全ての裏に楓がいる事を疑っていない。勿論、秦も動いているだろうが、直接的な原因となるの

は楓だ。何故なら、朱榛の一件で秦との仲は冷え切っている(少なくとも民も臣もそう思っている)。今これ

だけの事をできるのは楓をおいて外にない。

 送られてきた使者にも以前のような友好的な雰囲気が見受けられなかった。その態度に変わりはなくとも、

心は自然に映し出されるもの。彼らははっきりと脅しに来た。自分の退陣を迫っているのだ。今退けば命だけ

は助けてやると。

 実に腹立たしいが、逆の立場なら自分もそうしただろう。それくらい力の差が広がっている。

 しかしそれこそが自分の望みだったのだと、彼らは知っているだろうか。

「謀略が楓や秦だけのものと思うな。小国にも意地がある。そして我らは決して無力ではない」

 朱榛の一件でそれは証明された。続いてまた一杯食わされたと知れば、楓は、楓流は一体どう思うだろう。

 そう考えると蜀王の中に暗い喜びが満ちる。

「だがその程度でしかない事もまた、私はようく知っている」

 一転して同じ顔に諦めの色が浮かんだ。

 喜びもつかの間のものに過ぎない。

 しかし、もしでき得るならば、或いは・・・。

「抗うだけが能ではない。敢えて望む事で拓かれる道もある。一時は皮肉程度にしかならなくとも、それが元

で滅び去った国もあるのだ」

 蜀王は亡き蜀礼の顔を思い浮かべた。



 蜀王から楓に対し婚礼を世話して欲しいと使者が送られてきたのは、その後しばらくしてからの事であった。

 そして趙深(チョウシン)の子を一人(この頃にはすでに二人生まれた事になっていた、という事だろう)

養子にもらいたいとも申し出てきた。

 これを単純な言い方に直せば、全面降伏という事になる。養子にするとは、趙深の子を次の王にするという

意味であり、国を丸ごと差し出したに近い。本来なら楓流の子を望む所だが、彼に子が居ないので趙深にした

のだろう。

 その上で妻も楓の望む者にするというのだから、これがどれだけ重い意味を持っているのか解るはずだ。

 この提案を聞いた時、楓流は初め気でも違ったのかと思った。

 しかしようく考えてみると、これは周到に考えられた計画だという事が解る。

 確かにこれでは蜀はいずれ楓の手に落ちるだろう。だがそれまでの間(それは短くない期間だ)蜀王は安泰

である。蜀内の非難は益々高まるだろうが、最も強大な敵となる楓の庇護を得られるのなら安いものだ。これ

で蜀王家と国は生き延びられる。

 生きて居れば何が起こるか解らない。一時は趙深の子に王位を譲ったとしても、その次はどうなるか。栄枯

盛衰(えいこせいすい)こそ人の理。いつまでも楓が強大でいられるはずはない。生きてさえいれば、必ず好

機は訪れる。

 延命策でしかないが、蜀という国の現状を考えれば悪い手ではない。

 蜀王が孤立した理由はこれか。今の王なら何をやっても疑問に思われない。むしろ民や兵は納得するだろう。

やはりおかしくなっていたのだと。

 それは諦めと失望であれ、やはり同意である。

 楓流は苦々しく思いながら、すぐさま趙深に使者を送った。答えは決まっているとしても、できる限り手を

打っておかなければ。

 話し合いの末、趙深の次子と妻を蜀へ送るが、養子ではなくいずれ生まれるだろう蜀王の子の後見人とする

事にした。

 妻にする者は近衛から選ぶのが良いだろうと言う事も決まったが、こちらについてはしばらく時間をもらわ

なければならない。

 こうして蜀王は楓流、趙深だけでなく、大陸全ての人間を驚かせる事に成功した。

 その心が痛快であったか、無念であったか、それは伝わっていない。




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